線香立て

家事のなかでは掃除が嫌いだ。でも、汚いのはもっと嫌だからしようがなくやっている。そのなかで唯一好きなのが、仏壇の線香立ての灰をきれいにすることだ。お線香を立てたとき、灰に隠れる部分は燃え尽きないで残る。それが何日か続くと灰がかたくなり、お線香が立てにくくなる。母が生きていた頃、仏壇の掃除は母まかせだった。だから、どうやっていたのか今となってはわからない。

3,4年前、「ピュアラブ」という昼ドラが話題になったことがある。禅宗の若いお坊さんと小学校の先生の恋物語だった。ちょうど私が仕事を失った頃で途中から見るようになった。禅寺のシーンで、線香立ての灰を料理に使う裏ごし器のようなものでこしていた。家庭とちがい、いくつもの線香立てを使うお寺では、ひとつひとつ手で線香の残りかすを取り出すなんてことはできないだろうし、ああ、なるほどと感心しながら見たことを思い出す。

私は割り箸で線香の残りかすをひとつずつ取り出す。こういう単純な作業は私をいつも無心にさせてくれ、すべて取り除いたあとの滑らかになった灰が気持ちを清めてくれる。本来、掃除とはそうした効果があるのだろうが、家の掃除は物が多すぎ、始める前に気持ちが萎える。まずは部屋のなかに溢れているガラクタの数々から手をつけた方がよさそうだ。
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by omasa-beu | 2006-06-26 00:22 | 日々のこと | Comments(0)

終活しなくちゃと思いながら毎日をだらしなく送っている団塊の世代です。写真は、ドラマ『子連れ狼』(北大路欣也さん版)の大五郎(小林翼さん)。私の癒しです。スカパー「時代劇専門チャンネル」のTV画面から撮影。問題でしたらお知らせください。


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