線香立て
2006年 06月 26日
3,4年前、「ピュアラブ」という昼ドラが話題になったことがある。禅宗の若いお坊さんと小学校の先生の恋物語だった。ちょうど私が仕事を失った頃で途中から見るようになった。禅寺のシーンで、線香立ての灰を料理に使う裏ごし器のようなものでこしていた。家庭とちがい、いくつもの線香立てを使うお寺では、ひとつひとつ手で線香の残りかすを取り出すなんてことはできないだろうし、ああ、なるほどと感心しながら見たことを思い出す。
私は割り箸で線香の残りかすをひとつずつ取り出す。こういう単純な作業は私をいつも無心にさせてくれ、すべて取り除いたあとの滑らかになった灰が気持ちを清めてくれる。本来、掃除とはそうした効果があるのだろうが、家の掃除は物が多すぎ、始める前に気持ちが萎える。まずは部屋のなかに溢れているガラクタの数々から手をつけた方がよさそうだ。