漢陽都城10人10色 エピソードONE 日本語訳

先日、エピソードONEと共に公開された映像の日本語版です。



韓国語版も並べておきましょうね。

youtubeから共有させていただきました。

©Gilstory

漢陽都城スンソン道で出会った
僕のオモニ(母)


2016.09.07 キム・ナムギル

https://storyfunding.daum.net/episode/11568

毎日のように、似通った時間たちが通り過ぎる。時には、それほどに退屈で単調だけれど、慰めになる日常である。そのなかで、ふだん、僕たちが歩いていた道を考えてみる。

僕たちが味を思い出すとき、味覚に依存するかのように記憶したり、ふだん、留まってきた空間を通して成立する。

毎日の習慣のように通り過ぎてきた家に帰る道。その路地を入った小さな店、バスの停留所、公園で、自分で自覚しないうちに、その風景は胸の奥深くに刻まれる。そうやって、日常に点在する大小の記憶は、その道、透き間の合間合間に刻印される。そうやって、僕たちの時間が、記憶が作られる。

しかし、今は、都心の中で定型化され一列に裁断された道の上に小さな隙間を一つ見つけるのは容易ではない。いつの間にか、道はただの道として、日常の行路の中で最も早く通り過ぎる存在になった。だから、ゆっくりと黙って道を歩くことは呼吸することのように重要である。そうやって、申し分のない時間を享受して、実際の生活を生きぬくためには、再びゆっくりと歩まねばならなかった。

今や、呼吸をするようにゆっくりと歩いていたのはいつだったのか、わからない。そうすると、なぜか、悲しくなる。ふと、このまま時間旅行に出かけられたらどうだろうという思いもした。

そうやって、他の時空間に出かけられるものなら、新しい道に出会えるのではないか?

そうやって切実に今までとは異なる道を夢見るようになる。そうして、必ず一緒に歩くだけでも、心強かったあの道を思い出す。以前は保たれていたが、今は失われたしまった家に帰る道。当たり前で平凡だったが、実際は特別だった同行。背丈がオモニの膝に届いた幼い頃、オモニの歩幅に合わせて走るように歩いていた道。

その昔、このスンソン(城巡り)が開いた道と一緒に呼吸していた人々を考えてみる。清渓川に続くスンソン道には、どうしようもなく、常に誰かのオモニがいる。そのときも、家の中で最も忙しかった人、オモニ。その日も間違いなく家じゅうの家族の真っ白な服を着せる準備をしていた。オモニは頭の上に洗濯物を載せ、一方の手で子供の手をしっかりとつかんで村の川辺に向かう。

[写真のキャプション]
二間水門。 乙支路6街18番地の清渓川の五間水門のすぐ南側で都城の城郭を通過する水門である。日本統治時代、京城運動場が建設されるのに伴い姿を消し、今は、東大門歴史文化公園内で復元されて残っている。

背丈がオモニの膝に届いた幼い頃、オモニの歩幅に合わせて走るように歩いていた道。

漢陽都城の内四山から始まり、山の稜線に沿って流れ流れて、再び漢陽都城の二間水門を通して入ってくる水路のどこにでも場所を取るオモニたち。子供たちは傍らで水遊びをし、その頃から本格的に洗濯棒を叩いて汚れを落とす。そうして、いくらも経たないうち、肩から腕まで止むことなく下りてくる痛み。それでも休むことなく、さらに話の花を咲かせながら、白い木綿の服をより白くしていた女人たち。僕たちのオモニ。

注: 内四山(내사산)はソウル(漢陽)を取り囲む四つの山
南山(남산)、北岳山(북악산)、駱山(낙산)、仁王山(인왕산)

半日の時間が経って、自分の胴体ほどもあるかごを頭に載せ、子供はとても楽しく遊んで両頬を赤くして家に帰る道。実際、このまま家事が終わるはずがない。再びアイロンをかけてしわを伸ばし、日差しで乾かし、きちんと畳んでおかねばならないのだ。そして、もう、すごくお腹がすいて世界のあらゆる食べ物の名前をしきりに口にする子供、その傍をゆっくりと歩きながら、その名前の一つ一つを細やかに聞いてくれる人。そのオモニたち皆が子供と一緒に歩いた道。最初からその道はあまりにも近くにあった。

[写真のキャプション]
五間水門。東大門から中区乙支路6街に向かう城壁の下、清渓川6街にあった朝鮮時代の水門である。1907年、日帝が清渓川に水がよく流れるという名目で五間水門をすべて壊してしまい、コンクリート橋に替えたが、後に、その上の城郭が毀損され、共になくなった。今は同じ場所に五間水門が復元されて建っている。

漢陽都城を歩きながら、その痕跡に出会い、僕は何故オモニを思い浮かべたのだろうか。

ソウルの都心の中の河川、清渓川の橋ごとに残っている洗濯場の痕跡。漢陽都城が切断されたように続く清渓川は昔のソウルの人々の遊び場であり、洗濯場だった。白岳山の白雲洞天から始まり、東大門の五間水路を通って流れ出した小川が漢陽都城と共に大切にしてきた僕たちの物語。その消えた道のどこかから見知らぬ温もりが押し寄せてくる。

おそらく、また、ほかのオモニも疲れたのだろう。座っていても汗だくになった夏の日、末の赤ん坊と遊んでいた上の子供がつい眠り込む。その間、暑さにばてないように扇いでくれていたオモニ。そうするうちに、彼女自身もいつの間にかうたた寝をしている。その静かで温かい懐で、その後もいつまでも子供の時間を包みこんでくれた人、オモニ..

その小さな抱擁だけで世の中のすべての光を、いかなる不安もなく受け入れられた純粋な時間。

僕の忘れていた、あるいは、失われていた時間を城めぐりが開いた道をたどって記憶してみる。路地ごとに、何かの話が残っている道、ごった返す人たちの涙と笑いが染み込んだ道、いつでも気楽に訪ねてゆっくりと歩いた道、そんな生きて呼吸する空間が与える多彩な物語が懐かしい。

どんな目的もなく歩く途中、しばらく立ち止まってその道の中に盛り込まれた豊富な時間について話をする、だから、休まず走ってきた日常から自分の価値を振り返ってみる、そんな休止符のような道を歩くことができるなら、僕たちは少しでも休むことができるだろうか。

僕たちはすでにそのように美しい道を持っていた。

そうやって、漢陽都城はその姿そのままに、今も依然として宝石のような物語を抱いている。ほんの少しだけ、さらに近づくと、誰もが手の届く場所にあった漢陽都城。城石の一つ一つに刻まれた時間の豊かさを想像しながら喜んで自分のものとして享受してみる。

山から山へと川の水が流れるように、稜線に沿って自然に降りてくる城壁のそばに集まった睦まじい村。その道では特に何かをしなくても、その日一日が胸いっぱいになった記憶。そして、その道で出会った僕のオモニ。あまりにも慣れ親しんで何気なく、当たり前のように暮らしていた漢陽都城の中で、その姿にあまりにも似ていた僕のオモニ。

漢陽都城は
「オモニ」である。

最初から常に僕の傍にいたけれど、速い日常のなかで見えなかったが、ゆっくりと眺めてみると見える顔。

幾重にも重ねた永劫の時間の中で出会い、互いの重さを堪えぬき、互いが互いに寄りかかっても追いやられず、時には過酷な雨風に削られ壊れても、角ばった石とけちをつけずに抱いてくれた顔。

僕はあえて選択しなかったけど.. 僕は務めて努力しなかったけど..  僕を取り囲む垣根になってくれ、僕を僕として価値あるものに輝かせてくれる..

あなたは僕のオモニ。

キム・ナムギル

「ソウル漢陽都城10人10色」の映像はキム・ナムギルと市民9人が漢陽都城を歩きながら直接撮影、制作しました。

어머니(オモニ・母)の日本語訳は、映像に合わせて、オモニとしました。

日帝とか、日本統治時代などの単語にはどきっとします。それをナムギルさんが書いているから余計そう感じます。このエピソードONEをちゃっちゃっと訳せなかった理由はこの辺にあるかも知れません。やはり、私は日本人。歴史は真っ直ぐに見つめないといけないとわかっていても、自分が信じたい歴史を信じようとする私がいます。実際、歴史が真実とは限りませんからね。

エピソードTWOは、9月20日(火)、公開される予定です。

Commented by omasa-beu at 2016-09-15 01:00
kurikuriさま、こんばんは。

ナムギルさんのことがほんとにお好きなんですね。残念ながら、私は涙までは出なくて、ちょっと悔しいですo(^_-)O
私の訳にやさしさを感じていただけたとしたら、とても有り難いですが、kurikuriさんこそがやさしい方なんですよ。漢陽都城に寄せる思いを共有できたらいいとおっしゃる言葉にも愛を感じます。

最近、『サメ』の過去記事を訪問してくださっている方がいらしたのは、放送してた影響ですね。『携帯電話』のチャラ男ですが、あんな役柄を演じても卑しく感じられないんですよね。演技でも、その辺は彼の素の部分が出てしまうのかなと思ったのを思い出しました。
Commented by ぷりん at 2016-09-15 16:03 x
おまさぼう様、9月も半ばになり秋を感じる気候になったものの、まだ冷房が必要だったりしませんか?
季節の変わり目、ご自愛くださいませ(●^o^●)

映画公開がかなり遅れていますね。
来年!という噂まであり寂しい一方、ギルストは着々と進展していますね。私は登録していないので、「ハートファンディング」は皆様の素晴らしき愛ある行動をただただ聞いているだけで早々にミッションクリア(^_^ ;)
そして、こうして日本語訳が今回あがり耳を傾け聴き入る・・・

歴史遺産を訪ねると、説明案内板やガイドさん言葉から「日本」という言葉が聞かれ、また見学中の方々や通りすがりのガイドさんから「イルボン」と聞こえてくると、ちょっとドキッとします。。。

前記事のイス・・・久々にお会いしました笑
すごく懐かしい気持ち、映画続きなのでドラマとして未だ最新!? 作品としても多々思うこともあり、お写真・インタビューを拝読して「はぁ」という吐息が出ました(-o-)笑
ギルストも大切な行いですが、宇宙最強俳優!!本業のお話を私も今か今かとお待ちしています!!!
Commented by omasa-beu at 2016-09-15 19:09
ぷりんさま、あんにょん!

ええ、暑がりですから、今もエアコンと扇風機を併用しています(笑)。
ぷりんちゃんこそ、ご自愛くださいね。私は寝たい時に寝られるというプー暮らしですもん。ありがとうございます。

映画の方は、そのうちに、バタバタバタと公開されるのかも知れませんね。ともかく、韓国で公開されないことには始まりません。

『サメ』はたった3年前なのに、もう随分昔のような気がします。『六龍は飛ぶ』に出ていたとしたら、ユ・アインさんの役だったのかしら。年齢的にはピョン・ヨハンさんの役? でも、こちらは役不足だったかもね。結局、ナムギルさんにとってはちょうどいい役がなかったのかも。ドラマは面白く観ましたけど、繰り返し観たいと思わないような気がして、迷ったけど、録画は全部消しました。
Commented by やんたろ at 2016-09-19 08:35 x
おまさぼうさま、こんにちは。

大変ご無沙汰をしてしております。毎回必ず読ませていただいておりますが、コメントもせず読むだけで本当にごめんなさい。
自動翻訳など便利なツールを何も使えない私は、辞書1冊を頼りに全て手作業で読むのでリアルタイムとはいかず、いつも遅れ遅れなのですが、先週は韓国も中秋の名月だったからでしょうか、一週空いたおかげでEpisode 01と連載4話をゆっくりと読むことができました。

このEpisode 01は、今まで読んできたStoryball やTheme Story やRecord などの文章の延長線上ではありますけれども、何かナムギルさんをナムギルさんたらしめているもの、アイデンティティのようなものを感じて、訳しながら何度も胸が詰まり手が止まって、もともと拙い訳なのですらすらとはいかないのですが、それとは違う戸惑いと、やっぱりナムギルさんの中に一本通る柱は揺るぎがないのだということが伝わってくる嬉しさがごっちゃになって、いつもより一層真剣に訳そうと思いながら読みました……な〜んて言っている割には、おまさぼうさまの訳された美しい日本語には遠く及ばず、韓国語のキャリアだけではない人としての厚みの差を実感することになったのですけれど〜^^;

おまさぼうさまや皆さまの感想にもありますが、史実は史実として、目を逸らさず真っ直ぐに見て、批判したり意見したりするのではなくありのままを伝えようとされるナムギルさんのお姿には学ぶものがたくさんあると思いました。
そしてそれらを忘れないことが一番大切なのではないか…。ナムギルさんはそれを伝えるために漢陽都城という誰にでも見える分かりやすいものに託されたのではないか…。そう思うと今までのGilstory の歩みも全て布石だったような気もしてくるのです。

ごめんなさい、久しぶりに書いたのに理屈っぽく長くなってしまいました。口でのおしゃべりは苦手なのに、文章おしゃべりの私の悪い癖です、ごめんなさい。今日は勇気を出してコメントすることができたので、これからもお話しさせていただけると嬉しいです。関東はしとしと降り続く雨の三連休でした。
Commented by omasa-beu at 2016-09-19 16:03
やんたろさま、あんにょん!

いえいえ、ご訪問いただくだけでも有難いですが、コメントはさらに嬉しいものです。ありがとうございます。

私も、ナムギルさんの最初の写真集だけは、辞書でひとつひとつの単語を引いて訳しましたけど、今は、翻訳機も利用させてもらっています。でないと、単語力がないので、時間がかかるし、老眼鏡をかけていても、辞書の小さな字が見えなかったりしますからね。それに、辞書だけではなかなか意味がとれないことが多いので、ネットを使える今は背景を知ることができて、翻訳をする側にとっては便利な時代になったと思います。

好きな俳優さんのことは出来るだけのことを知りたいですし、その人が書いた文章で人となりを知ることができるのはシアワセなことです。でも、残念ながら、私の能力では、彼が言わんとしていることを訳出できているかどうかは疑問です。ほんとは無謀なことをやっているのかも知れません(汗)

やんたろさまのエッセイは、旧Gil Storyで拝見していました。私自身は、お喋りでも書き言葉でもそっけないので、僭越ですが、いい文章をお書きになると感じながら読ませていただいていました。よろしければ、いつでも、コメントを残してくださいね。楽しみにしています。
Commented by やんたろ at 2016-09-19 21:29 x
おまさぼうさま、度々そしてあっちこっちに書いてすみません。ほんとに馬鹿丸出しという感じでお恥ずかしい次第です^^;

最初にお話ししたかもしれませんが…記憶力が甚だ怪しく申し訳ありません…韓国語を勉強しようと思い立ったのも、ナムギルさんの書かれる珠玉のような文章を、翻訳ではなく何とかして自分で読みたいと思ったからでした。そういう意味ではナムギルさんがおしゃべりも読み書きもお好きなひとで本当によかったと思います。追いつけない悩みはあっても教材には困ることはありませんから〜(笑)

ただ、Gilstory 堕ちの私はどうしても映像よりもナムギルさんの言葉の方ばかりを追いかけてしまうので、先輩ギルペンさんに俳優キム・ナムギルあってのGilstory ですよね、と言われてハッとしたり、先日の朝鮮日報のインタビュー記事でナムギルさんご自身がはっきりと「俳優が先です」とおっしゃっているのを読んで、本当にそうだ、俳優としてのお姿をもっとちゃんと見なければと今頃思っている次第です。

そしてGilstory のCup Board の方まで読んでいただいていたとは…本当に恐縮です。ありがとうございました。尊敬するおまさぼうさまにいい文章などとほめていただけるなんて…。ただ読み書きが好きなだけで、投稿するだけでCup Pointがいただけて、本当に幸せな9ヶ月間でした。

おまさぼうさまの文章はそっけないなんてとんでもないですよ‼︎ 簡潔で必要十分な表現で、ご自分のはっきりとしたお考えをお持ちで、それなのに温かな気持ちがこもっていて、読んでいて情景が浮かぶようだとよく思います。そして何より溢れるナムギルさん愛♡♡♡ これが皆の気持ちを惹きつけて止まない魅力かもしれませんね。
Commented by omasa-beu at 2016-09-19 23:12
やんたろさま

そんなことは全然ないですよ。何度でも、ありがとうございます。

ピダム堕ち、ゴヌク堕ちというギルペンさまが一番多いような気がしますが、そのなかで、Gilstory堕ちは貴重ですね。やんたろさまが投稿されたエッセイはナムギルさんも読んでくれていたように思います。

あそこの掲示板は、最初はポイントがなければ記録のページが読めなかったので、私も何回かポイント稼ぎで投稿したりしてました。私の文章、そっけなくないと言っていただき、有難いです。でも、言葉足らずはおそらく癖なので、意味不明の折はご容赦くださいね。
名前
URL
画像認証
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by omasa-beu | 2016-09-14 20:19 | Gil-Story | Comments(7)

♪♪Kim Nam Gil Forever♪♪ 韓国の俳優キム・ナムギルさんが好きです☆


by omasa-beu
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30