[インタビュー]NGOの代表として会ったキム・ナムギル(下)

同インタビューの(上)は、知っていることも多い内容なので、まだ訳してないままですが、(下)の方が、キム・ナムギルという人を知るうえで興味深いので、こちらを先に取り上げてみました。最新の会報で、<自分のすごいところ>として挙げていた自制心を裏づける話が聞けたり、西川きよしさんの「小さなことからこつこつと」を思い出したりしながら、この人、こんなことを考えているんだと改めて感じ入っています。俳優というのは、おそらく、人間というものがわからなければ演じられない職業でしょうから、どんな活動も彼の演技にとってプラスになるような気がします。もっとも、ご本人はそんなことは考えてはいないかも知れませんが。この記事を読んだ後にRoad Show DVDを観たら、ナムギルさんを今までよりもさらに愛しい眼で見ている私がいました。

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「二度目のチャンスを与えることができる社会を夢見る」

http://www.sisapress.com/journal/article/156763

「あんな友達がいれば面白そう」
2014年夏に公開された映画『パイレーツ』の中の俳優キム・ナムギルを観ながら、このように考えた。映画が重くなりすぎないように取り組む彼だけの才気溌剌な雰囲気のためだったのか。

今年、35歳、芸能人というサングラスをはずして会ったキム・ナムギル<ギルストーリー>代表は愉快ではあったが、決して軽率ではなかった。インタビュー中、彼が最も多く使った単語は、「責任感」「影響力」「歴史」「共に」「人間性」という言葉だった。一つの質問にどっと溢れ出る答えを聞くと、「この人、こんなことをいつも悩みとしてきたんだ」という気にさせられた。

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「ギルストーリー」活動を行う理由として、「一人ではないという信頼を与えたくて」と回答したが、暮らしながら寂しさを感じるのか。

今も寂しい。生物学的にはむしろ寂しくないのに、時折、孤立しているような感じもする。会議するたびに強調していたことがある。 「隣り近所」という概念だ。ぼくが子どもの頃までは「隣り近所」は聞きなれた言葉だった。江東区上一洞住公アパートで長く暮らしたが、アパートのどこに誰が住み、ヤクルトおばさんが誰で、今日は塾に誰が行かなかったとか、こんなことをすべてわかって過ごしていた。今は消えた話だ。
ぼくもその時代がよく浮かび上がる。単にぼくだけがそんなことではないだろうと思う。 「共によく生きよう」。ギルストーリーのモットーであり、ぼくの人生の哲学である。誰か一人がうまくいって、苦労している多数を率いる社会ではなくて。誰もが一緒によく生きることができる社会のことだ。

「共によく生きる」…良い言葉ではあるが、多少理想的に聞こえる。このような社会に向かおうとするにはわれらはどうすべきか。

根本的には教育が最も問題が大きいと思う。

教育?

ギルストーリーの会議をするたびに言う話が「教育が問題」ということだ。5年前、ある私立高校の教室でドラマを撮ったが、その時驚いたのが時間割の中に「道徳」や「倫理」がないことだった。 多少、時代遅れと感じるかも知れないが、このような教育を受ける中で、他人に対する理解、配慮、責任感が学習され、体得されると思う。最近は、個人的な能力だけで社会的な成功を判断して、評価される時代になった。そうしてみると、子どもも大人も、教育を「知識習得」のためだけにアプローチする。

「成長」と「成熟」は異なるという言葉がある。しかし、人々はますます、「成熟」より「成長」に焦点を合わせているようだ。人間として備えるべき基本的なものについてはすべて忘れてしまって暮らしている気がする。 歴史もそうだ。もちろん、現在が重要ではあるが、過去があるから現在があり、現在があるから未来があるのではないか。過去に起きた歴史上の出来事のすべてを記憶できなくても、われらの歴史の中の重要な出来事、6.25はいつ起き、大韓民国という国はどのように作られたかのような、私たちの「根」は知っているべきだと考える。そのような点で、最近の学生が受ける教育に問題があると思う。「道」についてのぼくの関心も多分人々の生活の中の根幹であるからだ。

ギルストーリーのストーリーボールやキャンペーンに盛り込まれた文章も直接書いていると聞いた。

以前に書いておいたものである。もう在庫はすべて使い果たした。(笑)基本的に私が始めたものについて責任を持つべきだと思って直接参加しようとしている。もちろん、基本的にぼくは演技者だが、この団体が「キム・ナムギル」という名前に寄りかかる側面が大きいからである。ギルストーリーを最初に始めたときに人々が「道徳的に問題を起こさない自信はあるのか」と尋ねた。半分、脅迫めいていた。当時は「もちろん〜、ぼくは酒もあまり飲まないし、ギャンブルや薬物もしないから、ちゃんとできる」と答えた。今でも、このような部分では自信があるが、常に気をつけている。

芸能人としての責任感を重く考えている様子だ。しかし、自ら、たくさん束縛して行くような気もする。

当初、ぼくが持つ影響力をよいものに使おうということだったから。首長である団体のことなのに当然のことだ。ギルストーリー関連業務については、少なくとも最終的な決定だけはぼくが直接しようと努力する。 ただし、撮影に入っているときはあまり神経を遣えないので、重要なことは、撮影後に延ばして直接チェックする方だ。私の仕事の特性がそうだ。本業(演技者)においてもトップを走って俳優として認められれば、ぼくがする他のことも認められる。

芸能人としては大衆が愛を与えるだけに、責任感を持たねばならないと考える。「俳優たちは、それくらい多くを稼いでないのか」と言われたりもする。しかし、「大金」を稼ぐ「スター」は、芸能人の1%にもならない。また、それは永遠のものでもない。愛される俳優になるまで自らの努力もあるだろうが、やはり、誰かが面倒を見てくれなかったら、その座につくことはできなかったのだから。このような点が俳優として大変な点は大変なことである。

いつからか、韓国の若い芸能人を中心に、ハリウッドの文化が広がっている。パーティー文化、パパラッチ文化のようなものだ。文化とはやり取りするものであるから、流入自体が間違っているのではない。問題は、文化間の特性を考慮して持ち込もうとしているのではなく、無分別にもたらすことだ。もどかしい現象である。

いくつかの面では少し保守的なようだ。

いくつかの面ではそうだ。私はフィルムからデジタルへ移行する中間世代だ。当時も「俳優は酒も飲み、わがままを言えなければいけない」ような文化があった。重要なのは受け入れる人が中心となり、主体的に判断することだ。

最終的に、どのように暮らしたいのか。

平凡な人生を夢見る。達成することができない夢なのかもしれない。「何ごともないのが良いこと」であるようだし、どこに名前を知らしめることより、ぼくの好きな演技を着実に行うことができたらいいと思う。

ぼくは生まれながらの俳優だから、おそらく10年経っても50年経っても演技をしていると思う。NGOの活動も長く並行してやりたい。NGO代表としての夢をもうちょっと言ってみると、「人間性の回復」である。大げさに見えるかも知れないが、私にとって、この目標は、非常に小さいものに対する実践から行われる。気持ちを共有できる人たちときっかけを作って共に過ごす時間を作ることから始めるだろう。

そして、「二度目のチャンスを与えることができる社会」になればいい。「敗者」もまた失敗から教訓を得て社会性を回復し再び一緒に生きることができたら良いだろう。われわれの社会は、いつからか「勝者だけのための社会」になってしまったようだ。一回の失敗で社会で再起できないほど不具になってしまうこともある。そのため、ますます人々の攻撃性が強化されているようだ。「通り魔」「テロ」が発生するのも、結局は「隙間」を容認しない社会が生んだ弊害ではないかと思う。芸能人の話だけではない。

共同体運動に関心があるのか。

用語的なことはよく分からない。ただ、皆一緒に笑って幸せに暮らす方法に興味がある。私は朝起きてすぐに新聞を見る。父から受け継いだ古い習慣である。ニュースやドキュメンタリーを好む。人々の様々な考えや意見を知ることができる窓だと思う。

ニュースの中の世界は本当にせちがらい。「騒音トラブル」もこのように社会的イシューになることではないかも知れない。ある意味、過去には、騒音トラブルの問題はもっと深刻だったが、何の問題もなくはなかったか。隣人の間で笑って過ごせる程度のことだったのに、個人主義が深刻化し、社会問題に飛び出してしまったのだと思う。

周囲から理想主義者という話を聞くようだ。

その通りだ。私たちは、生きながらしばしば何が重要かを忘れて生きる。「何も大したことはないだべ!」(笑)
時代が変わっても、人々にとって最も重要なことは、変わらないと思う。実際には誰にでも他人を助けた後、気分が良くなることがある。小さなことから始めてみよう。難しいことではない。

ギルストーリーもそのような次元では、今年から新たなプロジェクトを開始しようとする。青年短編映画監督のための製作支援事業である。5月にヨーロッパ短編映画祭の共同組織委員長を務めながらアイデアを出したのだ。ぼくがちゃんとできることで社会貢献事業を開始してみようという気持ちで始めた。今も学びながら俳優をしているが、それでもぼくが着実にやってきた道を歩きたい人たちを助けるのも良い方法の一つだと思った。

最近、文化映画界はうまく行く作品だけを作ってるし。小さな映画、いい映画、細々と観客を集めることができる映画には、ほとんど投資がされていない。だからといって投資家を恨むことはできない。私たちの社会がそのようなものだから。製作支援はもちろん、一年に一回ずつ映画上映もして、観客との出会いの機会も設けたい。「文化芸術そのものが持っている意味は貧困を救済することはできないが、慰労することはできる。」この言葉の力を信じる。

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キム・ナムギル<ギルストーリー>代表は、当分の間、「漢陽都城10人10色プロジェクト」に集中するつもりだ。都城の道を歩きながら直接現場撮影に乗り出している。

今年のギルストーリーで準備する計画はさらにないか。

青年短編製作支援のほかは、当分の間、「漢陽都城」プロジェクトに集中すると思う。「道を読んでくれる人、漢陽都城」道の物語キャンペーンは、世界遺産登録の準備をしている漢陽都城を歩きながら、この空間の歴史的な意味をオンラインプラットフォーム、オーディオブックなど、さまざまな媒体を通じて振り返る作業である。

実際、ぼくも最初は「世界遺産がぼくたちにご飯を食べさせてくれるのか?」という考えだった。食べて生きるという悩みも手一杯なのに世界遺産登録に誰が気を遣うだろうと思った。ところが、一度実際に下見に行ってきて考えが大きく変わった。古い城郭と城郭の村という存在自体が与える響きがあった。城郭というのが「ただ、そばで、自分の居場所を守っていてくれること」の大切さを黙々と示していると思う。大げさなものではなくて、人々の隣にただいること。だから、そのままでいいもの。漢陽都城の存在を知らせて、これを機に、世界遺産登録まで心を繋いでいったらどうかと考えた。文化財とは媒体を介して共同体の意味を共有するきっかけになることができると思う。

時事ジャーナル キム・ギョンミン記者

写真は同記事から拝借しました。翻訳機で十分でない部分は自分なりに訳してみましたが、間違い、勘違いはご容赦ください。
Commented by サハラ at 2016-08-19 16:08 x
おまさぼう様、こんにちは。

少々、個人的な届出書類の処理の多さにげんなりしていたところ、
記事の翻訳たいへん嬉しいです。
原文タイトルの漢字の「上」に気づいてから、「下」を楽しみにしていました(笑)

ざっと読んだかぎり、記者のかたと同じく、
「この人、こんなことをいつも悩んで・・・」と感じました。
ふだんから、思考、周りの人々との議論を重ねている証拠ですよね。

「成長」と「成熟」、「後悔」と「未練」の意味の違いなど、調べればそれなりに理解できるのですが、いざ、本質的に理解できているのかというと、自分に限っては疑問です。
「自制」に関しては、お酒や薬うんぬんのところで納得。

ふだん、使わない脳みそを使って、思考が停止しそうですが(笑)
ナムギルさんの考えがうかがえて、
なにより、本業の俳優についての考えもきけて嬉しい限りです。

今回、代表として語っている表情、指先まで、素敵な写真だと思いました♪
この記事をバネに、もうちょっと頑張ろう!
Commented by omasa-beu at 2016-08-19 22:49
サハラさま、お疲れさまです。お仕事ははかどりましたかo(^_-)O

ナムギルさんの話を理解するのは結構難しいですよね。まだドラマの主役をやってない頃のインタビューを見ても、すごくよく喋ってましたから、お喋りも演技同様、持って生まれたものかも知れませんね。もちろん、日頃から、いろいろと考えているからこそのトークですけど、最近は、余裕や貫禄まで感じられます。

今度は、本業の方で、お話をいっぱい聞きたいです。
Commented by すみれ at 2016-08-20 22:27 x

ある質問に、「今も寂しい」と、答え始める 彼の感じ方に、やはりと・・・
彼の、この感性の部分に いちばん惹かれているように思います。


お盆に、お客様から、高山を舞台にした 映画DVDをいただきました。
1955年制作、木下恵介作品「遠い雲」です。
私が6才の時の作品 初見です。
時間が、ゆっくり流れています。
死んだ母と、語りながら一緒に観たかった
高峰秀子、佐田啓二、田村高広 他、母が好きだった俳優さんたち・・
高山に住み始めて37年、それより20年以上前の高山の風景です(o^^o)
登場人物の家との設定の家々は、当時そのまま 今もそこのお家の方達が住んでいらっしゃいます。
町並みも基本変わっていません。
お墓参りのシーンは、うちの裏手にある軍人墓地です。
樹々が伸びてないので、町が とても良く見えます。
お祭の風景は、まったく そのまま・・・

ギルさんの活動とも関連しながら、生活の中での 文化、建物、自然との関わり方を、深く考えさせられます。
Commented by omasa-beu at 2016-08-21 02:06
すみれさま

それはずっと大切にしたい映画ですね。今や高山の人のすみれちゃんにとっては感慨深いものがありますね。今や、私が住む街の界隈もすっかり変わってしまい、祖母や母が生き返ってきたら、どう感じるだろうと思ったりします。ある意味、便利になった面もあるけど、子供の頃の風景はすっかりなくなってしまいました。

高峰秀子さんは尊敬する女性の一人です。映画も何本かは観てるけど、女優さんというよりは、高峰さんのエッセイが好きで、随分と読みました。でも、彼女の凛とした生き方とはほど遠いところに来てしまいました(^^;;

たやすい道を行こうとしない人は寂しさとは無縁でいられないもんでしょう。でも、私たちがいることを思い出してほしいです。
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by omasa-beu | 2016-08-19 13:54 | Gil-Story | Comments(4)

♪♪Kim Nam Gil Forever♪♪ 韓国の俳優キム・ナムギルさんが好きです☆


by omasa-beu
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