おまさぼう春夏秋冬

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カテゴリ:かぶき・演劇( 68 )

シネマ歌舞伎『阿弖流為〈アテルイ〉』

昨年10月、松竹座で観たお芝居がシネマ歌舞伎となって帰ってきました。地元での上映時間が午前10時と午後6時の2回だけというのは、朝の遅い私には殺生な話ですが、えいやっと出かけてよかった。

松竹座では、座席が3階の舞台に向かって右側の列だったので、舞台の右側は見えないし、仮花道も身体を乗り出してやっとこさ役者さんの頭のてっぺんが見えるくらい。台詞は聴きづらいし、座席選びに失敗したことを後悔していたのです。

しかし、映画は役者さんの汗まではっきりと見えるし、早口の台詞も聴きやすく、役者さんたちの魅力にはまって、3時間という長さを感じさせませんでした。(途中、5分間の休憩あり)

改めて感じたのは、歌舞伎役者さん達の演技の上手さと身体能力の高さです。怪我をしてもおかしくないような激しい立ち回りのなか、どの瞬間を切り取っても絵になっているはず。映画のCGも真っ青な舞台装置も圧巻。

公式サイトはこちら
市川染五郎さん、中村勘九郎さん、七之助さんのインタビューが嬉しい。ギャラリーからどうぞ。

舞台を観ていない人もすごく楽しめる作品。というか、私自身、松竹座ではちゃんと見えていなかったので初見も同然。再演されたら行きます。

映画は、新橋演舞場での上演を収録、編集されたようです。

Seeing is believing.
백 번 듣는 것이 한 번 보는 것만 못하다.
ベッボン トゥンヌン ゴシ ハンボン ボヌン ゴンマン モッタダ。
百回聞くことは一度見ることに及ばない。(百聞は一見に如かず)



動画はyoutubeからお借りしました。問題なら削除いたします。

映画館のロビーで大学の時の友人に再会。彼女も歌舞伎ファン。妹さんと一緒にアテルイを鑑賞に来たところでばったり。先日のOB会で会ったばかりですが、京都が狭いのか、今までも大丸百貨店で何度か遭遇したりとご縁があるようです。ランチとお喋り、思いがけなく、楽しい午後でした。Aちゃん、ありがとう。
by omasa-beu | 2016-07-05 22:06 | かぶき・演劇 | Comments(4)

玉さまと鼓童、そして、キム・ナムギル

昨日、京都劇場で開催された『坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界』を堪能してきました。歌舞伎ファンの端くれとして、玉さまは好きな歌舞伎役者さんの一人です。その玉さまと鼓童の共演を観るのは、南座の『アマテラス』以来、二度目の観劇。

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京都劇場の中から撮影。窓の向こうに京都タワーが見えます。京都劇場に入るのは初めて。

今回の玉さまの役どころは、解説者というか、案内人として、素顔でのお出ましです。濃いグレーか黒の麻地のスーツにピカピカに磨かれたエナメルの靴という服装でも、その立ち姿には着物の時と同様、しなやかさを感じさせられます。鼓童の若きメンバーたちに自らマイクを向けながらのやり取りは楽屋風景や普段の玉さまを想像させる楽しい笑いを呼ぶものでした。

私に鼓童の演奏を語る力はありませんが、下山(げざん)と呼ばれる肩からベルトでかついで演奏する和太鼓を使って、2拍子から8拍子まで、いろんな拍子の説明や実践など、とても新鮮でしたし、その奥深さを垣間見る思いがしました。でも、音痴の私、拍子の違いなど、全然聴き取れない。また、和太鼓ではなく、3人のメンバーによるドラム演奏の競演では、今まで洋楽の演奏で見てきたドラム以上に、その迫力に圧倒されました。そして、何よりも感動したのは、大太鼓の演奏です。

大太鼓に向かってひたすら打ち続ける姿には、あたかも月や太陽などの大きな存在に挑み続けている人間の偉大さに触れたような思いがしたものです。筋肉があらわになった裸の背中の真ん中を首筋から流れてくる汗にも感動。

鼓童メンバーの方々の無駄のない動きや佇まいにも感動の二時間でした。

タイトルにキム・ナムギルを入れている理由―この日の公演は、ギル友でもあり、玉さまのご贔屓でもあるHさまのお誘いのお蔭で観る機会を得たからです。公演後は、近くの韓国料理店で乾杯!

最近出た『無頼漢』韓国版DVDの音を消して眺めながらのギルトークやいろんな話題で時間があっという間の午後でした。Hさま、あらためて、ありがとうございました。
by omasa-beu | 2016-06-04 15:56 | かぶき・演劇 | Comments(6)

Team申番外公演IV『男たちの棲家』~ドッコイ! 俺たちはここに居る~

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Team申というのは佐々木蔵之介さんが、毎回、自身が希望する作者、演出家、俳優と組んで演じる演劇ユニットの名前。Teamの存在は知っていたが、観るのは初めて。上記のチラシ以外の前知識は何もなく、ただ、市川猿之助さん、佐藤隆太さんとの共演を楽しみに出かけた。

入り口でもらった薄いパンフレットには、今回の公演について、作・演出の長部聡介さんによる文章が寄せられていた。一読し、感動。チーム申番外公演は、東日本大震災の年、<今、僕らに出来ること>をテーマに朗読劇として始まったが、今回は初めて芝居をやると書かれていた。そして、この舞台のkeywordsなるものがリストアップされていた。つまり、歌舞伎、シェイクスピアなど、様々な演劇の名台詞の数々がこの日のお芝居で飛び交うということだろうと想像する。
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始まりを知らせる柝(き)の音にびっくりぽん!
歌舞伎以外の演劇で聞けるとは思わなかったせいか、柝、いわゆる拍子木の音に心が動く。幕が上がると、もう一枚の幕の前にスタンバイする白拍子・花子の衣装をまとった猿之助さん。つまり、柝の音を含め、すでに舞台は始まっていたのだ。

娘道成寺のさわりの部分だけの踊りだったが、予想していなかっただけに嬉しさ倍増。濃い目の萌黄色の地に桜の花が散りばめられ、花びらと花びらを金糸がつないでいるという華やかで品のある着物に眼を惹かれる。裾からのぞくは赤の襦袢。歌舞伎の色彩感覚ってほんとに好き。今回、前から3列目の下手通路側という観やすい席だったので、踊りよりも衣装に見惚れてしまっていた(笑)

中の幕が上がると、そこは楽屋のようなセット。床を清掃するルンバ(笑)。清掃員の佐藤さんが楽屋を片付けているところへ新劇俳優のような雰囲気で登場する蔵之介さん。公演のないはずの日に楽屋にいる不審な男を追い出そうとする佐藤さん。すったもんだのところに現れる猿之助さん。道成寺のかつらをとってはいるが、白塗りのまま、裾をからげた浴衣から見えるステテコに雪駄。花子とのギャップが最高。ステテコから見える脚がきれい。真ん中に置かれたテーブルの上に腰を下ろし朗々と聞かせる弁天小僧の名台詞に万雷の拍手。

佐藤さんが楽屋から出て行ったあとは、蔵之介さんと猿之助さんの二人芝居。『空ヲ刻ム者』の台本を持ち出した猿之助さんに「歌舞伎はいやだ」と応える蔵さん。その後、『金色夜叉』のお宮と貫一の名シーンも大受けだった。暗転のなか、客席に紛れ込んだ佐藤さんは一人芝居。私の席のすぐ傍、通路をはさんだ反対側の席のひじかけに腰を下ろして台詞を語っていたが、お客さんがすわっているのに、あれは仕込みなのか?
どこからか聞こえてくる楽屋のざわめきの中に、平幹二郎さんなど、声の出演者もいるという豪華版だった。

3人の俳優が、あたかも、地のままの性格を演じているかのように、物語は自在に進行しているように観えたが、お芝居が始まる前に読んだ長部さんの文章の一節<楽屋から舞台に出ていくには恐怖や緊張をねじ伏せる乱暴なまでの勇気が必要です。(中略)しかし、舞台に出なければ、喝采も批判も受けることは出来ません。その勇気をいかにして手に入れられるか、そんなことを考えながらこの芝居の稽古をしています>が思い出される。彼らも未だそういう勇気を必要とすることがあるとしたら、それこそ、ずっと足がすくんだままの人生を送っている私も力をもらえそうな気がする。

1時間50分、休憩なしのお芝居と聞いていたのに、あっという間に終わってしまった。そんなに集中して観ていたのかと思ったが、おそらく、1時間ちょっとの上演時間だったような気がする。最近は時計を持たないので、スマホの電源を切っていると時間がわからない。

すぐに、歌舞伎俳優の市川段一郎さんが登場し、チーム申についての説明や蔵之介さんの新作映画チケットの宣伝をしたところに、再び、3人の俳優さんが登場してのトークタイム。

公演があるというのに朝早くから伏見稲荷などへ出かけたまま帰ってこない猿之助さんの話を蔵さんが振ると、猿之助さんは佐々木酒造が何かの賞を3度続けて受賞したという話で返したり。そうそう、蔵さんは、猿之助さんのことを未だに「亀ちゃん」と呼んでいた。

トークタイムはそこそこにお客さんへのプレゼント抽選会が始まる。ゾルマックなどのドリンクから猿之助さんも愛用しているという西川の寝具類など、最高15万円もの商品が、何気に数えてみると、40名くらいの方に当たるという大盤振る舞い。もっといい運を希望している私は、当選しなくて上々。

京都公演のあと、熊本の八千代座での公演が予定されているが、熊本地震の影響もあり、上演を逡巡される声もあったようだ。でも、地元からの要望があり、予定通り、開催されるとのこと。最後に、猿之助さんから募金のお願い。募金はくまモンに託されるとのこと。お三人がロビーの出口付近に募金箱を持って立ちますと、舞台からそのまま客席を通って退場。

私も財布を持って人混みのなかを並び、ささやかな募金をまず蔵之介さんの前の箱に入れ、「ありがとうございます」と両手で握手をしていただく。次に、隣の佐藤さんの前の箱に入れようとすると、「えっ、蔵さんの箱にも入れてたのに、いいんですか?」という表情をされたのが、『ナオミとカナコ』の中国人役のようで、すごく温かな人柄に感じられて、やはり両手で握手をしていただきながら、「いつも観てます」なんて言ってしまった。いやだ、このお調子者が!ところで、猿之助さんの姿が見えなかったけど、反対側にでもおられたのかしら。

<この芝居がささやかではあっても、希望とともに届けられればと願ってやみません>という長部さんの願いどおり、ひとときの楽しさではあっても、そのひとつひとつの積み重ねがその後の元気につながるものと私は信じたいです。

5月20日夜観劇
by omasa-beu | 2016-05-21 16:35 | かぶき・演劇 | Comments(6)

スーパー歌舞伎II『ワンピース』観劇@松竹座

とりあえず、原作の漫画『ONEPIECE』1巻目だけを読んで主役のルフィがどんな人物なのかを確かめてから観ましたが、ルフィ役の市川猿之助さんは、原作全巻を原作者の尾田栄一郎さんから贈られながら、1巻目を10ページほど読んだだけでやめたとか(昨年の新橋演舞場上演時情報)。「原作を知らない人でも楽しめること」を心がけたと番付(プログラム)でも語っていますが、彼のことだから、全巻読んでいるかも知れません(笑)

松竹座の正面
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開演前の舞台。開演中の撮影、録音はもちろん御法度です。ちょっとだけ、開演前と幕間の写真を撮らせていただきました。問題があれば、削除いたします。
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一幕目。『阿弖流為(あてるい)』の時と同じく、導入部は舞台に入り込んでいけない自分がいます。でも、新橋演舞場からのリピーターの方々やワンピースファンの方々が多いのか、すでに熱気が感じられます。

幕切れは、びっくりぽんの演出。書かぬが花でしょうが、以下、ネタバレ。NHK紅白の小林幸子を思わせる舞台装置。もちろん、幸子さんではなく、猿之助さん演じるハンコックです。

一幕目が終わり、歌舞伎の定式幕風のワンピース版。終幕後、この無地のところに映画のエンドクレジットのように、スタッフ・キャストの名前が映し出されました。
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二幕目。最高に面白かったです。浅野和之さんのイワンコフ。SM風網タイツの衣装とメーキャップが似合いすぎ。身のこなしといい、テレビドラマで観る一癖ありげな中年のおっさんはどこにも見当たりません。すごいな、舞台人!おかまちゃんたちのレビューはさすがにきらびやかです。

大量の本水を使っての立ち回り。その中で見得を切る中村隼人さん(イナズマ)。かっこいい。彼のブログも拝見していますが、9日はシャンクスの誕生日だったとか。ルフィとハンコックのほか、シャンクスも演じている猿之助さんへケーキのプレゼント。楽屋ではルフィの衣装で。こちらです

坂東巳之助さんの三役(ゾロ、ボン・クレー、スクアード)も素晴らしかった。とくに、ボン・クレー役は、誰、この人はと番付を見直しました。台詞廻しが上手いことに改めて感嘆。

そして、なによりも、夢中にさせられたのが、ルフィの宙乗り。今回は、スケボーに乗って、花道の七三あたりから舞い上がり、客席を斜めに横切るという試み。しかも、二往復。3階最前列の私の席の1メートル近くまで来てくれました。猿之助さんのルフィ、とてもかわいくて、こんなフィギュアがほしいと思わせられます。

この場のBGMが、ゆずの北川悠仁さん作詞作曲による『TETOTE』(歌はRUANさん)。猿之助さんも遊泳しながら歌っていました。一方、舞台から一階客席の頭上にせりだしてくる大きなクジラの風船ありで、もう、テーマパーク顔負けの二幕目でした。
そして、幕切れ。
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三幕目。前の幕とは違い、観ているうちに、じわっとくるものがありました。「ワンピース」という財宝を探し求める海賊たち。でも、ふつう一般の私たちは、その財宝を見つける前にあきらめてしまうのが常です。自分自身の来し方をふと考えさせられる台詞が散りばめられています。

今回、宙乗りは客席頭上を斜めに飛んでいくため、鳥屋はいつもの3階下手ではなく上手に設置されていますが、マルコ役の尾上右近さんが突然飛び出して行ったのにはびっくりぽんでした。歌舞伎では女形さんです。(右近さんのブログ

エース役の平岳大さん。生の平さんは初めて。舞台映えします。

名前は逐一挙げていませんが、俳優さんたち全員に見せ場があり、まさに世の中は自分一人で生きているんじゃないよとさりげなく伝えてくれているようです。

そうそう、序章の声だけですが、中村勘九郎さん(昼の部)と中村七之助さん(夜の部)が出演しています。私が聞いたのは七之助さんですが、エンドクレジットを観るまで気がつきませんでした。

役名をいろいろと書きましたけど、1巻目しか読んでない私は『ONEPIECE』については無知も同じ。今回の舞台は、原作の終盤、「頂上決戦」のあたりを脚色されたとのこと。猿之助さんが目指されたように、原作は知らなくても、十二分に楽しめるものです。ただ、知っていれば、もっともっと違うとらえ方があったかも知れません。

いみじくも、キム・ナムギルさんが『ONEPIECE』の中で好きなキャラクターとして挙げているのが、チョッパー、ルフィ、サンジ、ゾロ。(会報3号)彼にも観てもらいたいな。

思い出すままに書き連ねましたが、このお芝居の魅力は全然カバーできていないようです。どんなお芝居もそうだと思いますが、本作こそ、語るものではなく、観るものと実感。おそまつさまでした。

3月8日夜の部
by omasa-beu | 2016-03-10 14:17 | かぶき・演劇 | Comments(10)

『阿弖流為』あれこれ!

少し前になりますが、14日、松竹座で観た『阿弖流為(アテルイ)』の感想、いえ、随想です。
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今回の失敗は、3階右側真ん中あたりの座席を取ったことです。このお芝居は両花道を使うというので、観やすいかなと勘違いしたのかも知れません。すでに、チケットを予約した時のことが記憶にない(涙)。舞台上手が全く観えないし、仮花道を通る役者さんを観るためには、身体を乗り出しても頭のてっぺんしか観えないという席だったのです。

『阿弖流為』は、2002年、劇団新感線により上演された『アテルイ』を作者中島かずきさんが歌舞伎として書き直したものです。演出は、いのうえひでのりさん。主演のアテルイを演じるのは市川染五郎さん。ここまでは、新感線公演と同じですが、今回は、歌舞伎NEXTと銘うち、中村勘九郎、七之助さんたち、歌舞伎役者さんによる上演なのです。

新感線公演を観たのは、2000年『阿修羅城の瞳』初演、2003年『阿修羅城の瞳』再演、2007年『朧の森に棲む鬼』がすべて。つまり、主演が染五郎さんでなければ、ご縁がなかったと思われます。

阿修羅城の初演は、忘れもしない、松竹座のかぶりつきで二回観劇。終演後、廊下におられた演出のいのうえさんに「よかったです」という意味の言葉をハイテンションでかけたことを思い出します。私は、ふつう、そんなことは出来ない性格なので、いかに無我の興奮状態にあったということでしょう。

着流し姿の染五郎さんの美しさと身のこなしのかっこよさ。それこそ、歌舞伎役者ならではの魅力が爆発していました。芸達者な共演者たち。目の前に、舞台から役者さんたちが落っこちるような錯覚を起こさせる八百屋舞台(舞台の奥から客席へと傾斜している舞台)の迫力、心に残る音楽など。その後、結構高価だったビデオ上下巻やサントラからTシャツまで購入するほど、感動、感激したお芝居でした。最近、ビデオテープのほとんどを断捨離しましたが、これは・・・できなかった。

そして、『アテルイ』が新感線で上演されたのが2002年8月とか。この年は、私の人生で、ある意味、分岐点と言える年でした。正社員としての職を失った年。それまで、自分自身が当たり前と思っていた日常が崩壊した年です。

この頃から、歌舞伎や他の演劇を観る機会がぐんと減りました。観る機会があっても、お芝居に入り込めず、どこか、醒めた眼で観ている私がいたりして、「あんたは、今、お芝居を観ていられる身分じゃないのよ」という声がいつも聞こえていたからでしょう。そのせいかどうか、『阿修羅城の瞳』再演も『朧の森に棲む鬼』も、2002年以前ほどに夢中になれなかったような気がします。

お芝居とは関係のないことを書いていますが、決して、こうした状況を憂いているのではありません。夜の闇のなかをウォーキングしていると、いろんなことが脳裡に浮かんできます。先日は、脈略もなく、「わたしの人生、仕合わせだった」という思いにとらわれたのです。死ぬ間際にそう言って逝きたいという話は聞いたことがありますが、死期には少し早い今、そんな風に思えた自分を逆に仕合わせに感じてしまいました(笑)。

思い起こすと、自分のできる範囲ではあっても、好きなように生きられた人生を有難く思います。もちろん、その人生の中には、悲しいこと、つらいことがあるのは当然のこと。むしろ、何もない人生なんてないでしょうし、何もなくても、それはそれでいい人生かも知れません。どっちやねん!という突っ込みが飛んできそうですが、いろんな経験をして、今の自分があるという事実。もひとつ真摯さが足りなかったという反省は大いにありますが、それが自分というものですから、受けとめるしかないでしょう。

さてさて、今回、松竹座で上演された『阿弖流為』でもうひとつショックだったこと。それは、幕が開いてからしばらくの間、役者さんたちの早口の台詞が聴き取れなかったことです。でも、他のお客さんは、私が聴き取れない台詞に応じて笑っているので、私の耳の問題なのか、座席の関係か、どうなんでしょうね。

幕間をはさんで、一幕と二幕にわかれていたお芝居。二幕目は台詞が聴き取れないということもなく、とても楽しめました。主人公たち、阿弖流為(染五郎)、坂上田村麻呂(中村勘九郎)、立烏帽子と鈴鹿の二役(中村七之助)たち、それぞれのキャラクターがよく描かれていたと思います。

染五郎さんも勘九郎さんも、立廻りはすごく迫力がありますが、今回、それぞれ、阿弖流為と田村麻呂の殺陣の違いも鮮明に感じられました。蝦夷(えにし)の土地と民を守ろうとする阿弖流為。その蝦夷を制圧するために征夷大将軍として朝廷から派遣される田村麻呂。両者のキャラクターの違いが殺陣にも反映されているのがはっきりとわかりました。小気味よく、シャープな動きで都会的な武者を演じる勘九郎さん。一方、大地に根を生やすように、蝦夷を率いる将として、どっしりと重厚な立廻りを見せる染五郎さん。

七之助さんの二役も素晴らしかった。とくに、立烏帽子の男女の性を超越したような役柄が魅力的でした。真の姿を現した時の声色、声量、台詞廻しにも圧倒されるものがありました。何より、美しいというのは大きな魅力です。

終始、笑わせてくれたのが、蝦夷の民でありながら、やばいとなると、朝廷に寝返ったりする蛮甲(ばんこ)役の片岡亀蔵さん。こういうやつ、周囲にもいるのではないですか。いつの時代でも見られる人物かも知れません。そんなやつでも、熊の熊子との情愛には、笑ったり、ほろっとさせられたり。

印象に残ったのが、坂東彌十郎さんと市村萬次郎さん。彌十郎さん扮する藤原稀継のでっかさ。衣装の関係もありますが、横に立つ勘九郎さんが小柄に見えましたし、萬次郎さんの御霊御前の妖しさは格別。役者に歳はないとはいえ、萬次郎さんは、御年、65歳。見えませぬ。

そして、染五郎さん。若い、若いと思っていた染ちゃんが座長としての風格を漂わせていました。かつて、新しい舞台を観るたび、その成長に眼を見張っていた染ちゃんが(上から目線ですみません)、今は遠い人に思えます。

3回目のカーテンコールの幕を自ら押しとどめ、なおも、サービス精神旺盛にひとり飛び跳ねてくれた染ちゃん、お疲れさまでした。こういうのが楽しいんですよね。

歌舞伎ではなく、歌舞伎NEXTの『阿弖流為』!

舞台はもちろん、客席をウエーブする色とりどりの照明に眼を楽しませられたり、めちゃめちゃエンターテインメントでありながら、今の日本の状況をシンクロさせる台詞が散りばめられていたりして、一度ではすべてを観ていないような気がします。ご縁があれば、また会いたい、阿弖流為!
by omasa-beu | 2015-10-26 15:58 | かぶき・演劇 | Comments(8)

市川猿之助特別舞踊公演

映画『パイレーツ』公開の最終日となった12日(金)、前からチケットを取っていた市川猿之助さんの舞踊公演がある京都造形芸術大学内の春秋座へ出かけてきました。

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大階段の上にあるキャンパスの空間にたなびく猿之助さんののぼり。

この日は、前から4列目の中央より右手という非常に舞台に近い席でしたが、かぶりつきに座っている舞妓ちゃんの襟足の白粉と私の前列で黒の法衣に袈裟姿の僧侶お二方の坊主頭を観ながらの観劇と相成りました。舞妓ちゃんは南座でもよく見かけますが、僧侶姿のままのお坊さんに会うことはまずありません(笑)。お坊さんのお一人が、汗拭きタオルを坊主頭にのせたりされるので、つい、そちらに眼が行ってしまったり。舞台からもよく見えていたと思います。

舞踊の演目は、『猿翁十種の内 独楽(こま)』と『双面水照月(ふたおもてみずにてるつき)』の二本。上演前に、市川段一郎さんによる歌舞伎と演目について解説がありました。

大太鼓の音の違いで表現される雨や雪などの自然現象、あるいは、怪談ものにお馴染みの音など、実演を聴きながらの説明。こんなことは知らなくてもお芝居を楽しむことはできますが、舞台の約束事を知っていると、楽しみも倍増するかも知れません。

次に、「附け」について。舞台上手の端、木の板の上で拍子木をたたいている裏方さんがいますが、役者さんの動きに意味やアクセントを与えるものです。この音がなかったら歌舞伎ではないですね。

そして、市川澤五郎さんと段一郎さんによる殺陣の型の実演。4つほどある基本の型を演じ、段一郎さんと刀を合わせる澤五郎さんからは汗が滴っていました。お二人とも、素顔はとても渋くて素敵な役者さんです。

段一郎さんの解説は、観客に話しかけたり、合間に、数量限定の猿之助さんうちわや筋書の宣伝がちらほら入るなどの楽しい時間でした。

さて、『独楽』の舞台は浅草の浅草寺、『双面水照月』は隅田川の渡し場ですから、背景からはお江戸情緒がたっぷり感じられます。

『独楽』は初めて観ました。独楽売りの紫色の着物に納戸色の裏地、同じく納戸色の襦袢の衿と頭巾という配色にまず眼を奪われます。花道から登場の猿之助さん。もっとお若い頃から観ていますが、最近のオーラには眼を離せないものがあります。

菅原道真公が、流刑地の太宰府で、慰みに梅の木から独楽を作ったと伝えられているという段一郎さんの解説があったおかげで、独楽売りが手にしている扇子に描かれた梅の花に納得。すべてに理由があるということですね。独楽を回す振り付けも楽しいですが、衣装を引き抜き、独楽の柄と同じ色合いの着物で自分が独楽になって回る踊りはさすが身体能力の高い猿之助さんです。景色が一転しての幕切れはこれぞ歌舞伎!

『双面水照月』は、法界坊というお芝居の最後の幕なので、何度か観たことがあります。猿之助さんはおくみという娘の装いで出てきますが、その中身は法界坊の亡霊。二人の霊の合体を一人の役者さんが演じるのが見どころです。こちらは、市川門之助さん、笑也さん、笑三郎さんの共演。

幕が下りてもアンコールの拍手は続いているのに、公演終了という無情のアナウンスに劇場を後にしました。14日は春秋座での最終公演。これを書いているまさに今、上演中ですね。アンコールがあるんじゃないかな。
by omasa-beu | 2015-06-14 13:46 | かぶき・演劇 | Comments(4)

南座三月花形歌舞伎あれこれ

お彼岸の祝日が土曜日と重なり、お勤めの方たちはちょっと損したような気分でしょうか。一方、時間給で働く人たちにとっては、給料が減らなくていいことかも知れないし、誰にとっても幸運なことって、なかなかないものです。でも、均してみれば、人生いろいろ、人生とんとん。若い頃から、本能にまかせて好き邦題に生きた前半の人生でしたが、今はじっと我慢の子(いえ、おばん)の毎日。贅沢な話です(苦笑)。

コートが要らないほど暖かな昼間、お墓参りに出かけてきました。祖父母と母が眠っています。父もとっくに亡くなっていますが、そのお墓がどこにあるのか知りません。仏壇には父用の水を朝晩供えているので、それで堪忍してもらっています。

先週、横浜から南座の歌舞伎見物に来られた中村吉右衛門さんのファンの方に13年ぶりに再会しました。前回は2002年のゴールデンウィーク。京都観光にお付き合いしたのを思い出します。なぜ、そんなに日時をはっきりと覚えているかと言えば、このゴールデンウィーク明けの初出勤日に、勤務先の大阪支店がひと月後に閉鎖されると知らされたからです。

リストラの衝撃からはとっくに解き放たれたつもりでいるのですが、人生の最終章で躓き、そこから十分に立ち上がることが出来ず、とぼとぼと歩いてくるしかなかった自分自身の不甲斐なさが、胸の奥底におりのように残っていて、それが、時として、浮き上がってくるのです。だから、あの頃のことはいつまでも忘れられない。情けな!

横浜の吉友さまと会った数日後、南座午後の部見物。出演者は、30歳の尾上松也さんを筆頭に、他の6名の主要メンバーはすべて平成生まれ。みなさん、大丈夫かなと一瞬思ってしまうほど若さがみなぎる公演なのです。

観たいと思った理由は二つ。まず、演目が、私が歌舞伎にはまるきっかけになった『弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』が上演されること。もう一つは、子役の頃から観ていた松也さんの最近の活躍を眼にしたいから。

子役の松也さんは可愛くて、芝居が上手くて、他の子役さんたちとは一線を画していたような記憶があります。でも、その後、20歳の時に、お父上の尾上松助さんが亡くなられ、見かけることも少なくなった頃に観たのが2013年3月松竹座で上演された片岡愛之助さん主演の『GOEMON』でした。その頃からの活躍はテレビでも感じられるほどで、子役時代を知る者としては、とても嬉しいことなのです。

最初の『弁天娘女男白浪』では、松也さんは弁天小僧菊之助を熱演。結構、体格がいいので華やかさが引き立ちますが、私の好みとしては、もう少し、体重を落としてもらった方がシャープな感じが出るような気がします。今回、「知らざあ言って聞かせやしょう」という誰でもが知る台詞で有名な<浜松屋店先>と<稲瀬川勢揃い>の場が上演されていますが、私が好きなのは、どちらかと言うと、勢揃いの方です。

藍の地の着流しに「志ら浪」と大きく書かれた番傘をさして花道に勢揃いする白波五人衆を眺めるだけでも歌舞伎を観るわくわく感でいっぱいになります。配役は、弁天小僧(松也)、忠信利平(中村隼人)、赤星十三郎(尾上右近)、南郷力丸(坂東巳之助)、日本駄右衛門(中村歌昇)。日本駄右衛門は、従来、年輩の役者さんで演じられることが多いような気がするのですが、歌昇さんはまだ25歳。それでも、3年前に較べると(下記の写真)、大人っぽくなりました。今月、ご結婚とか。おめでとうございます。

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2012年1月、南座「秀山祭南座大歌舞伎」成功祈願のための奉納舞が催された京都八坂神社で撮影したものです。当時、四代目を襲名したばかりの歌昇さん。

午後の部のもう一本は、『闇梅百物語』という舞踊劇です。妖怪が次々に現れ踊りを披露してくれます。狸や河童、一本足の傘おばけに骸骨、雪女郎など。すごく楽しめましたが、なかでも、骸骨と読売(瓦版売り)に扮した中村種之助さんの踊りがとても躍動感があり、終わってみれば、あれ、彼が主役だったのという印象が残ったほどです。今回、種之助さんがよかったと言っていた横浜の吉友さまの言葉に納得。

雪女郎の右近さんには独特のオーラが感じられますし、新造の中村米吉さんは女性よりもあいらしい風情があり、最近、すごく気になる女形さんです。

坂東巳之助さんは、弁天娘では南郷力丸。百物語では一本足での踊りと宙乗りにも挑戦。よく通る声と目力が将来を感じさせます。先般亡くなられたお父上の坂東三津五郎さんが劇場のどこかで見守っておられたことでしょう。

イケメンすぎる歌舞伎俳優(笑)として注目されている中村隼人さんですが、大らかさが感じられる役者さんです。

高齢者になった自分にいつまでも折り合いがつけられない昨今ですが、舞台に咲く桜に一足早いお花見をさせてもらい、思いのほか、お芝居に没頭させてもらえた仕合わせな午後のひと時でした。
by omasa-beu | 2015-03-21 20:27 | かぶき・演劇 | Comments(2)

坂東三津五郎さん、ご逝去。

歌舞伎俳優の坂東三津五郎さん逝去のニュースに残念な思いでいっぱいです。

歌舞伎を観始めた頃、踊りのことなんて何もわからないのに、八十助時代の三津五郎さんと勘九郎時代の中村勘三郎さんのお二人の踊りに眼を奪われたものです。

一昨日の金曜日、三月南座公演の宣伝のため、大阪のテレビに生出演していた息子さんの坂東巳之助さんを見ながら、三津五郎さんはどうしてられるだろうと思っていたところでした。役者さんは親の死に目にも合えないといいますけど、いつものように、笑顔で軽口をたたいていた巳之助さんの心中はいかがばかりでしたか。

まだ59歳。勘三郎さんとは同級生。その後を追うように亡くなられてしまって、とても寂しいです。

ご冥福をお祈りいたします。
by omasa-beu | 2015-02-22 21:13 | かぶき・演劇 | Comments(4)

松竹座二月大歌舞伎

『パイレーツ』の日本語による記事がKstyleさんに出たりして、日本上陸が遠目に見えてきた感がします。

そんななかですが、大阪道頓堀の松竹座夜の部観劇を楽しんできました。今月は、一月から引き続き、中村翫雀さん改め、四代目中村鴈治郎さんの襲名興行が開催されています。

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写真撮影はもちろん禁止ですが、これは、開演前に3階から撮ったものです。問題があれば、削除いたします。

一番目は、鴈治郎さんがお父上の坂田藤十郎さんと演じる『曽根崎心中』。19歳の遊女お初を演じる藤十郎さんは御年83歳ながら、とても愛らしく、動きもシャープ。ほんとに驚嘆ものです。近松門左衛門作のこのお芝居、時々、心にかかる台詞がありましたが、今、思い出そうとすると、どこかに消え去っているボケボケの私です。梅田のお初天神の名前の由来は、お初と徳兵衛が天神さん森で心中したことからそう呼ばれるようになったようです。昔は、あのあたりも森だったんですね。

中幕は、鴈治郎さんが息子さんの中村壱太郎(かずたろう)さんと踊る『連獅子』。壱太郎さんは、ふだんは、女形が多い役者さんですが、子獅子の舞の躍動感に見惚れてしまいました。時折、袴の裾からちらちらと見える股引朱色が眼を引き、歌舞伎の色彩感覚に感嘆。一方、鴈治郎さんは子を見守る親獅子らしく、どっしりと構えた踊りでしたが、獅子の精に変身してからの毛振りでは、息子に負けまいとする気合いが感じられる競演に観客からの拍手喝采が鳴りやまず、拍手するこちらの手の方が気振りが終わる前に痛くなるほどでした。また、狂言師が獅子の精に着替えをする合間に出てくる二人の僧が市川猿之助さんと尾上松緑さんという豪華版も楽しめました。

最後の幕が、市川猿之助さんの『義経千本桜 川連法眼館の場』。通称、『四の切』と呼ばれる狂言。もう何度でも観たいお芝居です。静御前の役は前の幕で子獅子を演じた壱太郎さん。従来、かわいいと感じることが多かったのですが、この日の静はきれいでした。今回、3階最前列での見物でしたので、3階客席に近づいてくる猿之助さんの表情もアップで観ているようです。大向こうからのかけ声や大きな声援に紛れ、「おもだかや~」と数回、叫んでしまいました(笑)。幕切れ、劇場内に舞い落ちる花びらの華やかさ。
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自分自身が不甲斐ないせいか、内向きの考えになりがちな昨今の私ですが、生の舞台から受ける感動で心が満たされた夜でした。
by omasa-beu | 2015-02-18 16:57 | かぶき・演劇 | Comments(0)

今年の顔見世

歌舞伎ファンになって以来、顔見世のチケットを買わなかったのは今年が初めてと思っていたら、昨年も買ってなかった(笑)。しかし、今年も、有難いことに、旧友Sさまのご厚意で観る機会に恵まれ、観納めの観劇となった。

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南座前のまねき

ブログで振り返ってみると、今年の歌舞伎見物は顔見世を入れて六回。思いの外、観ていますが、ひと頃、熱に浮かされたかのように、毎月どこかで観ていた時期に較べると、最近、お芝居を観ている時の自分の心情が変わってきているように感じることがある。その中身を説明するのは難しいけれど、一言で言ってしまえば、歳をとったのか、舞台を観られる嬉しさをしみじみと感じているのだ。

今年の顔見世は昼の部の見物。演目は四本。

1.藤十郎の恋

人気役者の坂田藤十郎(中村扇雀)は、不義密通を題材にした近松門左衛門の新作の役作りに悩み、古くからの馴染みである茶屋の女将、お梶(片岡考太郎)に偽りの恋をしかける。結果、お梶は、新作の上演で賑わう芝居小屋の楽屋で自害して果てる。

偽りの恋で思い出すのは、キム・ナムギルファンとしては、ドラマ『赤と黒』だろう。藤十郎の芸のためと異なり、シム・ゴヌクは報復のため、かつては姉と呼び、今は人妻となっているホン・テラの頑なな心を虜にしてしまった。

時代や国の違いもあるだろう。偽りの恋とわかった後、テラは後悔はないと言い、お梶は命を絶つ。しかし、その前に言い放ったお梶の言葉にいたく共感する。

「(もし藤十郎に恋をしかけられたなら)三国一の果報者だ」

たとえ、嘘の恋であっても、仕掛けられ、その恋に堕ちた女の心情はまことであると思えるからだ。

2.新口村(にのくちむら)

大坂の飛脚屋「亀屋」の養子忠兵衛は、恋仲の遊女梅川の身請けのため、為替の金の封印を切ってしまう(封印切)。公金を私的流用するのは死に値する罪。忠兵衛は梅川と一緒に故郷の新口村へと死出の旅に出る。

雪の降り積もる竹林を背景に、黒紋付きの裾模様で寄り添うご両人の道行。これぞ歌舞伎という絵になる光景だ。今月は、片岡秀太郎さんの梅川。上方歌舞伎で女形と言えば、秀太郎さん。久しぶりの梅川を見られ、得したような顔見世。

3.魚屋宗五郎

上方のお芝居のあとは、江戸の市井を描く世話物。
旗本磯部の屋敷に奉公していた妹のお蔦が殿様からお手討ちにされる。最初は事情を知らされずじっと我慢をしていた宗五郎(松本幸四郎)だったが、妹が濡れ衣を着せられ殺されたとお蔦の朋輩おなぎから知らされるや、たまらず、酒断ちの禁を破り、おなぎが持たせた二升樽から一杯だけ、もう一杯と呑みはじめるが、父親太兵衛や女房おはまが止めるのも聞かず、酔っぱらって、全部飲み干してしまう場面が見せ場のひとつ。酒好きの人なら、共感を呼ぶかも(笑)。後半、無実のお蔦を手討ちにしてしまった磯部の殿様(中村橋之助)から詫びられ、父にまで二人扶持を与えられて、目出度し、目出度しとなるのは、なんとなく納得ゆかないが、それは封建制度の元での話。歌舞伎を観ていると、時折、それでいいのかと思うのは、現代の頭で考えるからだろう。

4.仮名手本忠臣蔵 七段目 祇園一力茶屋の場

歌舞伎の演目のなかで好きなお芝居のひとつ。最近では、2010年の顔見世でも上演されている。

今回は、「十八世中村勘三郎さんを偲んで」と冠しての追善。勘三郎さんが亡くなって、今月5日が三回忌。2年前の顔見世に出演していた勘九郎、七之助ご兄弟が京都と東京をとんぼがえりしていた姿が思い出される。

勘九郎さんが平岡平右衛門、七之助さんが遊女お軽、そして、勘三郎さんと親しかった仁左衛門さんが大星由良之助で出演。

私が観てきた七段目のなかでは、とても若々しい平右衛門とお軽。きっと、亡き勘三郎さんが南座のどこかでご覧になっているだろうという思いにとらわれながらの観劇だった。

今回は、Sさまのおかげで、ギル友のMさまともご一緒でき、嬉しい年末のひと時でした。おふたりさま、ありがとうございます。

12月20日観劇。19列目でしたが、白内障手術のおかげで1.2の視力を実感しました。

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おまけに、チケットだけでなく、お弁当と筋書付という豪華版。写真は、その筋書についていた栞ですが、南座の檜舞台の敷板が20数年ぶりに張り替えられ、その取り外された檜板が「新檜舞台開き謹製 檜グッズ」として再生されました。檜しおりの他、すっぽん木札、檜コースターがありますが、すっぽん木札は完売となっていました。

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小豆好きの妹への南座土産。今月は、「中村勘三郎追善」と銘打ったもなかとカステラが販売されていました。
by omasa-beu | 2014-12-21 23:51 | かぶき・演劇 | Comments(8)
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♪ ♪ Kim Nam Gil Forever ♪ ♪  韓国の俳優キム・ナムギルさんが好きです☆映画『ワン・デイ 悲しみが消えるまで』公開中!!


by omasa-beu
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