山中伸弥京大教授
2008年 01月 16日
「患者さんの役に立たないなら、何の意味もない」
万能細胞で一躍有名になった山中教授が15日放送のNHK『クローズアップ現代』に出演。録画していないので言葉の使い方は正確ではないが、感銘を受けた言葉である。関西弁で気さくに答える山中教授の話はわかりやすく、にわかファンになってしまった。
なかでも面白く感じたのは「何万個もの細胞の中から対象となる24個にしぼった後、万能細胞を作る4個を見つける過程」についての話だった。この作業を託された研究者は一個一個を個別に調べるのと並行して、24個を一緒にするという大胆なことをやってのけた。するとES細胞と同じ細胞になった。(この辺り、具体的にはちんぷんかんぷんだが)つまり、24個の中のどれかが有効なわけで、どういう組合せにすればいいか、山中教授は頭を抱えた。組合せは膨大になるからだ。すると、先の研究者はこともなげに言った。どれか1個をはずし、23個ずつで調べて行けばいいと。もし万能細胞が作れないなら、そのはずした1個が当たりというわけだ。
山中教授はこういう話をすることで、万能細胞の研究が山中教授一人のものではなく、チームでなされていることを暗に私たちに伝えているように思われた。姿勢はとても謙虚で、脚光を浴びていることにも冷静だ。「世界より一歩進んでいるどころか、すでにリードを許しているかもしれない」と、国から支出される研究費がアメリカやヨーロッパとは比較にならないほど少ないことを指摘していた。
「前は医者だった」と元整形外科の臨床医だった山中先生は口にされていたが、患者の役に立ってナンボと考えてられる山中先生を私は医師として尊敬します。