シネマ歌舞伎『野田版・研辰の討たれ』
2008年 01月 14日
野田版での勘三郎の台詞の速さと量はすごい。よく聴いてなかったら意味がわからなかったりする。でも、最初から笑いっぱなし。歌舞伎でこんなに笑わせてもらったのは初めてかも知れない。歌舞伎座の舞台を縦横に使ったセット、場面転換は暗転なし、観客は息つく間を与えられないくらいスピーディな運び。
父を殺され、辰次を追う市川染五郎・中村勘太郎両人のかっこよさ。二人が剣道の稽古で立ちあう場面はそれだけでも観る価値があった。踊りで鍛えた役者さんの身のこなしは理屈でなくこちらの気持ちを揺るがすものがある。
笑っているうちにラストの仇討ち。<殺せ、殺せ>と付和雷同していた野次馬が<殺すな、殺すな>(助けてやれ、だったっけな?)に変わってゆくあたりから野田秀樹のメッセージが見え隠れする。思いもよらず気分が沈む幕切れ。笑わせて、笑わせて、この物悲しい結末は何なのか。
シネマ歌舞伎を観るのは、『二人道成寺』、『朧の森に棲む鬼』に次ぎ3本目。松竹がHD高性能カメラで撮影と謳っている通り、アップで映し出される役者さんの表情や汗はもちろん、3階席から観ているように舞台全体を見渡せる利点がある。もちろん、生の舞台を観るときの高揚感には欠けるものの(そこまで求めるのはぜいたく)、歌舞伎見物のために遠征ができなくなった身にはとても有難い。
私も大阪で観ました。ご一緒すればよかったです。
染五郎さん、勘太郎くんの平井兄弟、カッコよかったですね~。
あの申し合いの場面は、舞台を観た時から大のお気に入りで
もう1回観たいと思っていました。おまさぼうさんも同じように
お感じになったようで、ほんとにうれしいです。
同じ日に観ていたのですね。もっとも、私は京都のMOVIXでしたが。
平井兄弟の申しあい、何度でも観たくなりますね。あの黒の稽古着もステキでした。
野田さんのメッセージ、心のなかでもやもやしているのですが、一度観ただけでは具体的な文章にできませんでした。