団塊のぼやき (10) 私が暗い理由
2006年 07月 26日
妹に言われるまでもなく、数ヶ月前までの元気はつらつリポビタンな私は消えている。毎週、翻訳の課題に向き合うごとに再確認させられる自分の能力のなさが胸の奥深くに少しずつ砒素を呑まされたごとく効いてきたようだ。
30年前、翻訳者への希望は捨てたはずだった。自分の性格や才能を考えると会社員生活の方が向いていると思った。定年まで会社勤めをし、その後は悠々自適の道が待っていた。それが、50代半ばでのリストラで再就職の難しさを体験し、再び、捨てたはずの翻訳に戻ってきた。
再就職探しで自分の無能さを実感したうえに、再度始めた勉強でも擬うつ状態に陥るというバカをやっている。もし、経済的に何ら問題のない暮らしをしているなら、気楽に授業料を払いながら暇つぶしの「生涯教育」とやらを続けられたかも知れない。いや、貯えがあるなら、私は辛気くさい翻訳の勉強などには手を出さず、今日は歌舞伎、明日は韓国へと遊び歩いていただろう。
リストラから丸4年が過ぎ、心の奥底に見えないおりがたまっている。この4年はその前に働いてきた30年よりも重い日々だった。かごのなかで同じ場所を回らされているハムスターのように、私の懲りない人生はいつ終わるのだろう。