漢陽都城10人10色 エピソード06 日本語訳

21日午後2時過ぎ、突然、鳴り響いたスマホからの警報にはびっくりさせられました。スマホ画面の「鳥取県で地震発生」の文字から一瞬遅れてやってきた揺れは最近では比較的大きいものでしたが、それでも震度3程度でしたから、鳥取県中部に発生した地震の大きさを思い知らされるものでした。

被害に遭われたみなさま、避難中のみなさまに普段の生活が一日も早く戻りますよう、心から願っています。

日本列島は、もはや、地震に関しては安全な場所はないように思いますが、今回、好きなように歩き回れなくなってみると、いざという場合、何の役にも立たないどころか、自分自身が逃げることもできないとつくづく感じています。身体の不自由な方やご年配の先輩方、幼いお子さんをお持ちの方のご苦労を今更ながらに実感させられることになりました。

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©Gilstory


さて、エピソード06の日本語訳です。今回のタイトルにある「어울림」という単語には、「調和すること、釣り合うこと、交わること」などの意味合いがあるのですが、もひとつ、しっくりこないので、大雑把な意訳をしてしまいました。ナムギルさんが意図するところは、最初のパラグラフに記されているかと思いますので、どうか、ご了解ください。

キム・ナムギル、漢陽都城と共にあること

2016.10.18 by キム・ナムギル

https://storyfunding.daum.net/episode/13476

「調和する」という言葉のように温かな言葉がまたとあろうか? ある時空間に共に存在するすべてのものが互いに調和をなしてひとつの風景を作り出すこと、すでにそれ自体で十分であり、趣がある。

ある春の日の朝早く、興仁之門を出た茶山(タサン)こと、丁若鏞(チョン・ヤギョン)。彼が生きていた時代には明らかに一つも欠かさず繋がる都城に出合うことができただろう。「4月7日早朝、興仁之門を出ると - 都城の門を出るたびに喜びがあふれ、天と地が寛大に抱いてくれるように、遠い水路は朝焼けに輝き、山々は春の日の美しさを誇る。(與猶堂全書から)」

4月7日早朝、興仁之門を出ると

漢陽都城を完全に享受することができる特権ではなく、特権を持っていたその時代の人々がたまらなく羨ましくて、たちまち癪にさわってくる。到底、直接その時間のなかに生きていなくては、到底、推し量れないだけの雰囲気が欲しくなる。いっそ、知らないほうがよかったことを、そのまま、通り過ぎて行くことを.. スンソン(城めぐり)をしてみると、ある瞬間、そのような感情が訪れる。

もちろん、過去の時空間を想像すること、そこで、現在に再現し上げることは不可能ではないのだ。多くの人がそのことをやってきたし、多くの小さな成功はいつも積み重ねられてきた。しかし、単に歴史的事実に関する研究と文学的想像だけで表わすことができない余白も確かにある。

猫が昼寝の後にのんびりと全身をぶら下げて伸びをするときのように、その柔軟な身振りで山並みをよじ登る城壁の姿だけは到底復元することができない。どうしても、その風景はそのとおりに再現されることはできない。

考えてみれば、僕たちはただの一度も完全につながる城郭を見たことはない。伝説のように、ただ、話を伝え聞いただけだ。虎がタバコを吸っていた時代、すごい昔むかしにはそうだったようだが..

その時はそうだったって..

漢陽に喜ばしくも調和していた都城、城壁から城壁をつないでいた城門、その天井のアーチのなかに描かれた鳥と龍を覆い隠す内側は草花や木々。都城のそばの森の草むらに隠れた虎、山ウサギ、カササギやカラス。そして、また、城門の敷居の下、土の道に生じた草履の足跡。そうして、城門から城門にそのまま続いていた叙事を完全に享受していた昔むかしの都城の人々。

しかし、今はあまりに多くの時間が流れてしまった。城壁と城門は互いに調和してはいない。つながっていない。神話の中の伝説のように標石だけが残っていたり、偶々、城門が残っているとしても、道路の真ん中に無人島のように孤立し、ぽつんと取り残されている。時たま、山の奥深くに残る城壁は完全に城門と共に保存されてあっても、すでに、その頃と同じ道ではあり得ない。

いくら想像してみても、実際に見て感じたものでさえないのだ。本来なかった道でも、作って頭のなかで数限りなく描いては消してみたりを繰り返す。城門が位置していた跡地に建てられた標石でも写真に残しながら、自分なりに残念な思いを慰める。

アスファルトの道路に、コンクリートの建物に城壁が途切れると、つい、台無しとなる。こんなときは、あえて、昔の漢陽都城の城郭の道を探すのが何の役に立つのかと懐疑心さえ生じる。スンソン(城めぐり)を続けてみると、間違いなく、いつかは訪れてくる何故か悔しいこの思い。

昔の漢陽都城の城郭の道を探すのが何の役に立つのか

それでも、もう少しその場にとどまって理由がわからない喪失感を静めてみると、こんな感情を先にもっと深く経験した世代がいたということを思い出させる。1928年、その年の秋、団成社(注: 映画館)で歌手イ・エリスが歌って大ヒットし、全国に広がった「荒城の跡」を聴いてごらんなさい。

当時の京城を揺るがした最高のヒット曲「荒城の跡」。廃墟となった高麗の古い宮跡を訪れ、寂しい感慨を告白する歌。城はすでに崩れて空き地である。廃墟を訪れた旅人は一人で眠ることもできず、もの悲しい虫の声だけを聞く。ひとりぼっちの旅人と失われてしまった漢陽である京城、解体された都城は、実に似ている。

(注: イ・エリスさんの歌はこちらでお聴きになれます)

いつの間にか、城門を朝夕に開閉し、城門を守り、面倒を見て、大事にしてきた人たちは形もない。城門が撤去され始めてから、その数年の間、漢陽が城郭都市だったという事実さえすべて忘れてしまったようだ。そして、このもの悲しい歌が発表される数ヶ月前、東亜日報に連載された「九門八字打鈴」には、その序文で、それこそ捨てられた高麗の古い宮殿のような都城の運命を嘆いている。

「昔のソウルは廃墟に戻ります。(中略)城が崩れるのと同時に、門楼も自然衰退してしまいます。幸い、東大門、南大門はそのまま老いて黒くなった顔に白い白粉をつけて、病身の状態をとりつくろって座っているだけ、その残りはすでにいつかの年に死んでしまったのか、屍すら見つける方法はなく、痕跡なく、行ったり来たり、いくつかのものがまだ残っていると言っても、幾日かのうちに同じ運命をたどるようです..」

守り、面倒を見て、大事にしてきた人たちは形もない

当時、首都を取り囲んでいた自然な繋がりは途切れてしまった。表面上、都市計画のために都城の門を解体するなどという名分を立てたが、1899年、敦義門 - 清涼里の間に初めて電車が開通した際にも城門は手を付けなかった。その時は、軌道を城門内に通過させることで、城壁の破壊を避けた。

1902年には、崇礼門と敦義門の丹青を新たに塗ったりもした。しかし、1907年、高宗が強制的に退位させられた直後、日本の圧力で設置された城壁処理委員会によって、崇礼門の左右の城壁が撤去され、都城は、解体の道を歩むことになる。

いや、何、つまり、人が暮らすことはすべて同じさ。都市を近代的に再整備するのがどんな大変なことになったとしても、時代が変わったと言う人たちもいただろう。自動車が初めて朝鮮の街に現れたとき、その音が出す怪物に驚いて気絶した人たちが多かった時期も経て、皆、その自動車を現代の文物の象徴と感じて乗りたいと思ったというのだ。

1924年、当時も漢陽都城はすでに色あせた遺物だったかもしれない。ほとんどの人々は、また、そのように自然に受け入れていたのだ。それでも、当時の人々は、比較的近年まで、漢陽都城の本来の姿を覚えていたのだろう。だから日常に追われて常に振り返ってみることはできないにしても、その思いは切なかったと思う。

ある瞬間、当たり前のように繋がっていた城壁が当たり前のように途切れてしまったので、子供の頃、城郭に沿って漢陽都城の風景を見下ろした記憶でも浮かんでくると、さらに空虚に感じられるのだ。すでに消えた城壁を想像して再建されても、素晴らしい想像力の限界から描き出せない残念な思いだっただろう。

漢陽都城の風景を見下ろした記憶

そうやって生きてきて、ふと、いつか、連絡が途絶えた旧友、さらに遡って、小学校時代、かすかに覚えているイタズラばかりしていた仲間の顔を懐かしむように漢陽都城が懐かしくなった。

そうだ、そうやって懐かしいものは懐かしいままにしておこう。失ってしまったものは失ってしまったままにしておこう。すべてを手にすることはできなくても、決してすべてを失ってしまったことではないのだから。

漢陽都城が保っていたその数多くの調和。それだけでも、すでに過去と未来の間が、まさに、今、ここに存在する僕たちに力となっていることだと信じながら。

キム・ナムギル

「下に紹介する映像は、<ギルストーリー: ソウル漢陽都城10人10色プロジェクト>の市民参加者、パク・ヨンジュさんが直接撮影した映像で『調和』をテーマに制作されました」

写真と映像は、こちらでご覧くださいませ。

「ぼくたちが作る文化遺産、漢陽都城9話」
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キム・ナムギル、敦義門を通り過ぎ
隠された道を歩む

https://storyfunding.daum.net/episode/13519
Commented by やんたろ at 2016-10-24 20:51 x
おまさぼうさま、こんばんは。

思いもかけない山陰地方での地震、異常気象という言葉も聞き飽きたような上がったり下がったり極端すぎる気温。地球全体が何か大きな崩壊の方へ向かっていなければいいのですが…。

Episode 06の素晴らしい和訳をあげてくださりありがとうございます。丁寧に読ませていただき、拙いながらも自分で訳したものと照らし合わせるこのひとときは、何にも代え難い至福の時間です♡

ストーリーファンディングの連載に比べてより思索的な内容のEpisode は悩む箇所がとても多いのですが、今回のEpisode 06話は今までの中では読みやすかった気がします。少〜しだけ慣れてきたのかな?…などと浮かれていると、だいたい次はガツンと身の程を知らされるんですけどね(^^;

タイトルの「ともにあること」は直訳ではなく、なるほどと思いました。おまさぼうさまの訳はとても自然で、くどくないといいますか、すぅ〜〜っと入ってくるのが読んでいてとても気持ちがいいです。悩んで悩んでこねくり回して結局おかしな日本語にしてしまう私は、いつも目からウロコです。そして一人称が「ぼく」なのも大好きなポイントです♡♡♡ 私もずっと「私」ではなく、「ぼく」「ぼくたち」…しかも平仮名…で統一してきたので、おまさぼうさまの訳を見るたびに嬉しくて。勝手に喜んでおります。
Commented by omasa-beu at 2016-10-24 22:32
やんたろさま、こんばんは。

コメントをありがとうございます。
どこに住んでいても明日は我が身な状況になってきましたが、どうか大事に至らないように祈るばかりです。今や、日本だけでなく、地震には無縁のように思えていた韓国でも起こっているのですから、ほんとに、地球はどうなって行くんでしょうか。

ナムギルさんによるエピソードは、彼の脳裡や胸をよぎる想いを文章にされているので、ただ言葉の意味を繋いでいるだけの私には難しくて、時間がすごくかかります。でも、ナムギルさんの文章だから、それでも、読みたいんですけどね。

私こそ、やんたろさまの翻訳を読ませていただきたいです。お気づきかと思いますが、たまに、横着な訳出をしてしまったりするので、ほんとに冷や汗ものです。

一人称の訳に関しては、私も、平仮名の「ぼく」派なんですけど、今回のエピソードシリーズは、漢字の「僕」にあえてしています。文章の途中で平仮名が来ると、ちょっと読みにくいかなと感じることがあったもんですから。

このシリーズはいつまで続くんでしょうね。ナムギルさんの文章はずっと読みたいけど、パソコンの前に座り続けるのは、膝や腰によくないので、そろそろ、お開きにしていただいてもいいかなと、またまた、自分勝手なことを考えています。ミアネヨ。
Commented by やんたろ at 2016-10-24 23:20 x
おまさぼうさま、夜分に再度失礼いたします。夜更かし大好きの私はこれからがお目々らんらん、辞書をひっくり返しながら思う存分ナムギルさんの文章にひたっていられる幸せな時間です。

…って、そんなことより‼︎
おまさぼうさまのお膝のことを読み、痛みとご不自由さと、本当にお察しします。実は私も半年前から片方の膝を痛めて、未だにしゃがんだり正座ができずにおります。今まで何も考えなくてもできていたことができなくなり、痛みが増せばトレーニングも一進一退、元に戻るのかな…と暗澹たる気持ちになることもあります。完治しないからと苛立つよりも、このくらいは仕方ないか…と受け入れる方が楽かもしれないなどと思ったりしています。おまさぼうさまのご容態も分からないのに勝手を言ってすみません。これから寒さに向かいますので今まで以上にお大事になさってくださいね。

それから今回のキャンペーンのことですが、確かGilstory さんのFacebookでしたか、ストーリーファンディングの連載は11週間とありました。1話のスタートが8月16日で、ハートファンディングの開始に伴って9月8日から木曜日になり、途中秋夕の休暇で1週空いて今9話まで出ていますので、連載の方はこのままいけば10話なら今週27日、11話なら11月3日までかと思います。ハートファンディングのEpisode は10人10色というタイトルから、10名の市民参加者の方々の作品で10回なのかな?と思っています。するとEp.01が9月8日に始まって、同じく秋夕を挟んで明日25日でEp.07の予定なので、10回なら11月15日までかと思います。

おまさぼうさまのお体に触らないうちに、どうかナムギルさんの思いが届いて、このキャンペーンが成功裡に終わってほしいと心から思います。長々と失礼いたしました。
Commented by omasa-beu at 2016-10-25 11:30
やんたろさま、こんにちは。

昨夜は早速にありがとうございました。私も夜更かしではひけをとらないんですが、昨夜は、昼間の疲れのせいか、毎晩観ているアメドラの途中で眼がふさがってしまいました。

オモオモ、やんたろさまもご同病でしたか。元々、家事は最小限しかしない人間ですけど、さらに踏ん張りが効かなくなって、そうなってくると、余計、あれもこれもと眼につくのですが、手を付けられないので、もう周囲はぐちゃぐちゃです。やんたろさまこそ、ご自愛なさってくださいね。ありがとうございます。

エピソードがいつまで続くんだなんて、分かり切ったことを書いてましたね(冷や汗)。10人10色なんですから、少なくとも10話まではありますもんね。ほんとに、何も考えないで口をついてでる癖、お恥ずかしいです。とても詳しく、日程をお知らせくださって、やんたろさまのギル愛を感じます。
Commented by やんたろ at 2016-10-25 21:48 x
おまさぼうさま、こんばんは。

昨夜は冷えましたけれども、ドラマを見ながらお休みになって風邪でもひいたら大変です。しっかり寒さ対策をなさってくださいね。

私こそ知ったかぶりをしてしまい、申し訳ありませんでした。おまさぼうさまはとうの昔にご存知のことなのに…つい夢中になってしまいました〜(^^;

おまさぼうさまはじめギルペンさんの皆さまと同じくナムギルさんが大好きで、もしかしたらそれ以上にナムギルさんの書かれる文章が大好きで、気がついたら私は韓国語そのものに恋をしてしまったようなんです。初めて接した韓国語がナムギルさんを通してで本当によかった、と今は思っております。
一日一善ならぬ一日一ギルさんハングルで♡♡♡ 今日も嬉しいEpisode 7話を授けてくださいました。
Commented by omasa-beu at 2016-10-26 00:52
やんたろさま、こんばんは。

ご心配をおかけしています。今日やっと、扇風機とヒーターを入れ替えました。暑がりなので、まだ扇風機は必要と感じてましたけど、さすがに、もう限度ですね。

アニエヨ。言葉足らずのうえに、考えが浅はかなので、困ったもんです。

私が韓国語に初めて接したのは、残念ながら、ナムギルさんがきっかけではありませんでしたが、自分で韓国語を読んでみたいと思ったのは、彼の写真集が最初でした。もちろん、演技が一番とはいえ、ドラマや映画のナムギルさんしか知らないままだったら、この歳月、ずっとギルペンを続けていたかどうかわかりません。エピソード7話もさっさと読みたい思いは大いにありますが、パソコンの前に長時間座り続けるのは避けたいので、ぼちぼちとやりたいと思います。
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by omasa-beu | 2016-10-23 16:50 | Gil-Story | Comments(6)

♪♪Kim Nam Gil Forever♪♪ 韓国の俳優キム・ナムギルさんが好きです☆ドラマ『名不虚伝(ミョンブルホジョン)』MNETにて放送中!!


by omasa-beu
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