今年の顔見世
2014年 12月 21日
ブログで振り返ってみると、今年の歌舞伎見物は顔見世を入れて六回。思いの外、観ているが、ひと頃、熱に浮かされたかのように、毎月どこかで観ていた時期に較べると、最近、お芝居を観ている時の自分の心情が変わってきているように感じることがある。その中身を説明するのは難しいけれど、一言で言ってしまえば、歳をとったのか、舞台を観られる嬉しさをしみじみと感じているのだ。
今年の顔見世は昼の部の見物。演目は四本。
1.藤十郎の恋
人気役者の坂田藤十郎(中村扇雀)は、不義密通を題材にした近松門左衛門の新作の役作りに悩み、古くからの馴染みである茶屋の女将、お梶(片岡考太郎)に偽りの恋をしかける。結果、お梶は、新作の上演で賑わう芝居小屋の楽屋で自害して果てる。
偽りの恋で思い出すのは、キム・ナムギルファンとしては、ドラマ『赤と黒』だろう。藤十郎の芸のためと異なり、シム・ゴヌクは報復のため、かつては姉と呼び、今は人妻となっているホン・テラの頑なな心を虜にしてしまった。
時代や国の違いもあるだろう。偽りの恋とわかった後、テラは後悔はないと言い、お梶は命を絶つ。しかし、その前に言い放ったお梶の言葉にいたく共感する。
「(もし藤十郎に恋をしかけられたなら)三国一の果報者だ」
たとえ、嘘の恋であっても、仕掛けられ、その恋に堕ちた女の心情はまことであると思えるからだ。
2.新口村(にのくちむら)
大坂の飛脚屋「亀屋」の養子忠兵衛は、恋仲の遊女梅川の身請けのため、為替の金の封印を切ってしまう(封印切)。公金を私的流用するのは死に値する罪。忠兵衛は梅川と一緒に故郷の新口村へと死出の旅に出る。
雪の降り積もる竹林を背景に、黒紋付きの裾模様で寄り添うご両人の道行。これぞ歌舞伎という絵になる光景だ。今月は、片岡秀太郎さんの梅川。上方歌舞伎で女形と言えば、秀太郎さん。久しぶりの梅川を見られ、得したような顔見世。
3.魚屋宗五郎
上方のお芝居のあとは、江戸の市井を描く世話物。
旗本磯部の屋敷に奉公していた妹のお蔦が殿様からお手討ちにされる。最初は事情を知らされずじっと我慢をしていた宗五郎(松本幸四郎)だったが、妹が濡れ衣を着せられ殺されたとお蔦の朋輩おなぎから知らされるや、たまらず、酒断ちの禁を破り、おなぎが持たせた二升樽から一杯だけ、もう一杯と呑みはじめるが、父親太兵衛や女房おはまが止めるのも聞かず、酔っぱらって、全部飲み干してしまう場面が見せ場のひとつ。酒好きの人なら、共感を呼ぶかも(笑)。後半、無実のお蔦を手討ちにしてしまった磯部の殿様(中村橋之助)から詫びられ、父にまで二人扶持を与えられて、目出度し、目出度しとなるのは、なんとなく納得ゆかないが、それは封建制度の元での話。歌舞伎を観ていると、時折、それでいいのかと思うのは、現代の頭で考えるからだろう。
4.仮名手本忠臣蔵 七段目 祇園一力茶屋の場
歌舞伎の演目のなかで好きなお芝居のひとつ。最近では、2010年の顔見世でも上演されている。
今回は、「十八世中村勘三郎さんを偲んで」と冠しての追善。勘三郎さんが亡くなって、今月5日が三回忌。2年前の顔見世に出演していた勘九郎、七之助ご兄弟が京都と東京をとんぼがえりしていた姿が思い出される。
勘九郎さんが平岡平右衛門、七之助さんが遊女お軽、そして、勘三郎さんと親しかった仁左衛門さんが大星由良之助で出演。
私が観てきた七段目のなかでは、とても若々しい平右衛門とお軽。きっと、亡き勘三郎さんが南座のどこかでご覧になっているだろうという思いにとらわれながらの観劇だった。
今回は、Sさまのおかげで、ギル友のMさまともご一緒でき、嬉しい年末のひと時でした。おふたりさま、ありがとうございます。
12月20日観劇。19列目でしたが、白内障手術のおかげで1.2の視力を実感しました。
先日はおまさぼうさまとSさまのお陰で今年も顔見世興行を見ることができました。本当にありがとうございますm(__)m
京都の年の瀬の恒例行事、これで今年も心おきなく年を越すことができます。
今回は義母と一緒の時よりリラックスして見ることができたのでいつもより楽しめました(笑)
おまさぼうさまとお話させていただくとなんだかイヤなことも忘れられるのでいつもウキウキした気分になって帰ることができるのが自分でも不思議です。
Sさまもとてもステキな方で私もこれから年を重ねていく上でいいお手本の方に出会えて幸せです♪
こちらこそ、ご一緒していただき、ありがとうございました。おまけに、観劇後にはお喋りできて嬉しかったです。
ミニうさちゃんは、しっかり者の妹みたいに思ってますので、これからもよろしくです(^_−)−☆
Sさまといい、ミニうさちゃんといい、いつも気にかけていただき、わたしはしあわせものです(*^◯^*)
二十歳の時です。
ここしばらく、雪に降りこめられ、いろいろ思い巡らしていました。
この頃は、妙に尖っていて、幼く 可愛かったです( ゚д゚)
(見かけのことでは ありません(笑))
今年も後わずか・・・
季節に合った暮らしをしていないとおっしゃってましたが、顔見世とは極上の季節感を味わっていらっしゃいますね。おすそ分けいただいてありがたいです(自分では行かないから笑)
数日前、パソコン用のメガネが歪んでしまい、眼鏡店に行ったら、結局「遠近」「近近」の二種類のメガネを買ってしまいました。仕上がりまで1週間かかるというので、近距離に焦点が合わない不便な生活を強いられてます(涙)おまさぼうさん、手術は大変でしたけど視力が回復されてよかったですね◎ ナムギルさんがいつ来ても大丈夫なのにね~(笑)
わたしの歌舞伎見物は平成の始まりと共にでした。それ以前にも観る機会はあったけど、ただ、しんきくさと思っていたようです。
大雪、大変でしたね。
子供の頃は、年末は家の商売を手伝うものと決まっていましたから、顔見世なんて、京都に住んでいても、よその世界の話でした。でも、観られるようになって。。。今年も、おかげをいただくことができました。
マジャヨ。白内障手術は、ナムギルさんをクリアに観たいがために思い切ったのに、一体、いつ、会えるのでしょうか。眼を酷使しているので、また、視力が落ちそうです。
今年も顔見世をご一緒できてうれしかったです。
かわいいミニうささんともお話できて、楽しいひと時でした。
ありがとうございました。
昼の部は何と言っても七段目でしょ、と思っていたのですが
他の演目もどれもおもしろかったですね。
秀太郎さんの梅川は、所作や着物の裾さばきが綺麗で
見ていてうっとりします。あと何回観られるでしょうね。
初めて観た幸四郎パパの宗五郎のはじけっぷりもナカナカ
でした(笑)。
こちらこそ、ありがとうございました。
今回はお席が離れていたので、あまりお話ができませんでしたが、それは、またの機会にとっておきたく思います。
ええ、わたしも、お目当ては七段目でした。実は、この作品を初めて観たのは、テレビ中継だったんですけど、平右衛門を吉右衛門さん、お軽が玉三郎という、お二人の掛け合いがとても楽しくて、繰り返しビデオで観なおしていました。この前、顔見世から帰ったあと、も一度観たくなったんですが、今年、ビデオテープを処分した折、それも捨てちゃったみたいで、くっーーー。もちろん、生の舞台にしくはないですが、ビデオでも楽しめるものは楽しめますのでね。