やしきたかじん 最後の2年 (追記あり)

『やっぱ好きやねん』や『大阪恋物語』を聴くと、今でも、涙がにじんでくる。「やしきたかじん」の歌、そして、その人は、私の30代後半から逝去の報に接したその時まで、空気のように存在していた。

2年間の闘病の末、今年1月3日にこの世を去ったじんちゃん。その後、週刊誌で騒がれた一連の報道に嫌気がさした私は、3月3日、「偲ぶ会」に参列し、密かにお別れしたつもりでいた。

あれから半年。10月21日付の京都新聞に載った記事に触発され、久しぶりに、<やしきたかじん>で検索。

古川嘉一郎著『たかじん波瀾万丈』(たる出版)が4月に出版されていたのを知る。古川先生は、放送作家として、たかじんさんの初期のラジオ番組から『たかじんnoばぁ~』に至るまで、その企画構成者として身近で本人を見てきたひと。私自身、欠かさず観たり聴いたりしてきた番組の舞台裏をその頃の自分と重ね合わせながら懐かしく読ませてもらった。なぜ、先生かと言うと、もう20年以上も前になるが、ある教室で、エッセーの講座を受講していた時の講師が古川嘉一郎さんだったからだ。最近の私の文章、赤ペンで真っ赤になりそうです。

そして、アマゾンでは在庫がなく、重版されるのを待って読んだのが、9月に出版された角岡伸彦著『ゆめいらんかね やしきたかじん伝』(小学館)。『ゆめいらんかね』とは、たかじんさんのデビューシングルのタイトル。出自から「偲ぶ会」に至るまでが丹念に描かれているが、闘病中の2年間についてはあまり触れられていない。あとがきによると、生前の本人への取材依頼は、闘病中ということもあってか、返事はなかったようだ。また、夫人への幾たびかの取材依頼にも返事はなく、身近な人たちからも、<緘口令がしかれているかのよう>にほとんどの取材依頼を断られたと記している。長年のファンとしては、そうかなと疑問に感じる記述もあるが、それは、著者が取材を通して得られたたかじん観だから仕方がないだろう。

そんな時、やしきたかじんについてのテレビ番組があることを知る。TBS『中居正弘の金曜日のスマたちへ』の次週予告で取り上げられたようだ。ギル友さまが知らせてくださり、今頃なんでと不思議に思いながら録画予約を済ませた。そして、金スマ放送日の11月7日(金)の前日、今度は妹から、テレビ朝日『モーニングバード』の週刊人物大辞典というコーナーで「明日、たかじんさんをやるみたいよ」と教えてもらう。

朝は起きられない私が、『モーニングバード』をリアルタイムで視聴。文字通り、眼が覚めるほど、驚かされた。なんと、作家の百田尚樹さんがたかじんさんの最後の2年間について書いたというのだ。しかも、ベールに包まれていた夫人のさくらさんとのツーショット写真まで公開されていた。

この日、店頭に出た百田尚樹著『殉愛』(幻冬舎)をすぐに読了。小説のような、まるで、こちらが夢を見させられたような不思議な物語。

昨年12月26日、車椅子に乗ったまま、病院内の教会で二人だけの結婚式。
「家鋪隆仁はイタリアの神様からもらったさくらを、妻として愛し続けます」
それから10日も経たないうちに、この世を去ることになる。

金スマでは、やはり、百田さんを迎え、『殉愛』が再現ドラマで描かれていた。出会いがガンを発症した時期というタイミングもあるかも知れないが、こういうことって現実にあるんやなというのが正直な感想である。実際、何が真実かはわからないけれども、先のやしきたかじん伝と合わせて読むと面白い。

この一連の流れに、どこか、乗せられたような気もするが、謎に包まれていた最後の2年間に寄り添えたようで、やっと、やしきたかじんさんを見送れそうな気がする。

じんちゃん、よかったね。妻のさくらさんは、人生の最後の最後に、家鋪隆仁さんの元に舞い降りてきた、まさに、天使()でした。嫉妬深い私が素直にそう言える女性に巡りあえたじんちゃん。いい人生でしたね。

↑ 以上、『殉愛』を読んで感じたことですが、あくまでも、本を読んでの感想です。それが、真実であったかどうかはわからないというのが今の心境です。小説ではないですから、ひとつ、嘘があると、すべてが信じられなくなります。というか、私自身に、視る眼や判断する力がなかったということです。せめて、じんちゃんの最期の日々が安らかなものであったことを願います。

あらためて、やしきたかじんさんのご冥福をお祈りいたします。


♪大阪恋物語~
今幕を閉じてゆくけど
あんた この世で ただひとりだけ
魂で 愛せたひと
生まれ変わって また逢えたなら
今度は 離れないからね

『大阪恋物語』より (作詞・作曲 鹿紋太郎)
Commented by すみれ at 2014-11-14 01:13 x
テレビがあった頃(笑)時たまテレビで、お見かけした印象から 私が想像するたかじんさんと、おまさぼうさまが偲ばれる、たかじんさんとには、厚みに相当違いがあると思います。
でも、私、自分の直感にかなり自信を持ってます。
そして、手にする情報に 自分の思いが裏ずけられると、嬉しく、安堵します。
おまさぼうさまの寂しさも少しは感じることができているのでは・・・

最近聞いた、死んだ相方の、意外な所からのエピソード
そんな見方もあったのかと(笑)
自分自身のことでも新発見があるのに、まして人のことは、知っているつもりでも 知らないことがあるのは当然ですね。

おまさぼうさま エッセーの勉強されていたのですね ! ! 納得(o^^o)
Commented by ゆなおん at 2014-11-14 12:41 x
おまさぼうさま
11月7日の2番組とも観ていました。
奥様になられた、さくらさんとの出逢いは、ドラマのようで
たかじんさんならではの出来事ですね。 
いい人生の最後を送られましたね。
日曜日のそこまで言って委員会にもまだひょっこりと扇を持った たかじんさんが 
歩かれるような、気がします。他にも同世代のりえママさん達の悲しい 知らせを聞く中  
ナムギルさん目標で若い気持ちでいた~い です。
Commented by omasa-beu at 2014-11-14 19:17
すみれさま

おっしゃるとおり、自分自身のことが、一番、視えてない部分が多いかもしれません。見る人によって、その受け方、感じ方は異なるでしょうしね。

私の知っているたかじんさんは、毎週、身内のように、テレビで観ていたひと。もう、それで十分です。

エッセーだけでなく、いろんなものをかじりましたが、どれも続かなくて。でも、文章は技術も必要かもしれないけど、それ以前のものが私にはないことを実感しています。

Commented by omasa-beu at 2014-11-14 19:21
ゆなおんさま

お知らせくださってありがとうございました。
最後まで、めちゃめちゃ勝手なおっさんやったなあと思いますけど、すべてひっくるめてのやしきたかじんでしたね。
たかじんという冠はついていても、本人のいない番組は、もういいかという気がするこの頃です。
Commented by noriko at 2014-11-17 13:46 x
おまさぼうさんの「追記」の意味がよく分からなくてぐぐってみたら……おっしゃること、分かりました。
 切ないですね。いまはここにいない人にとっても、彼を応援していた人にとっても。
 たかじんさん、私にはすごくシンパシーを感じるという人ではなかったのですが、あらためてご冥福を祈りたい、という気持ちになりました。
Commented by omasa-beu at 2014-11-18 02:38
norikoさま

たかじんさんにこの世に戻ってきてもらって、真相をあれこれ喋ってほしいです。結局、ほんとのところはわかりませんけど、一応、ファンとして、いろんな嘘や脚色はともかく、闘病中の2年間の軌跡がなんとなくわかっただけでもいいかと思います。
Commented by ツッキー at 2014-11-18 20:07 x
おまさぼう様


そうですね。嘘や脚色あってのテレビでしょうから、その世界に長く身を置き、リードされてきた彼ですから、天上で、誰よりもクールに、巷を御覧になっておられる気がします。


不謹慎とは思いつつ…。


肉体的な衰え、病身にかかわらず、綺麗な若い女性が寄り添っておられたなんて、やっぱふつ~のおっちゃんじゃぁなかった~!


最期まで浪花の色男でしたね。
Commented by omasa-beu at 2014-11-19 00:07
ツッキーさま

たかじんさんの最期に誰かがいてくれたのはよかったと思う反面、好き勝手に生きたひとほど、ひとりで死んで行くのもかっこいいんだけどなと思う私がいます。

今日は、高倉健さんの訃報が届きましたね。『網走番外地』の頃の健さん、きれいでした。テレビドラマでは、『あにき』が印象に残っています。合掌。
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by omasa-beu | 2014-11-12 20:08 | やしきたかじん | Comments(8)

終活しなくちゃと思いながら毎日をだらしなく送っている団塊の世代です。写真は、ドラマ『子連れ狼』(北大路欣也さん版)の大五郎(小林翼さん)。私の癒しです。スカパー「時代劇専門チャンネル」のTV画面から撮影。問題でしたらお知らせください。


by omasa-beu
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