孤独死は不幸なのか。
2011年 01月 24日
さすがはNHKである。豊かな取材費を使って、市町村ではとても追跡できない人物の足跡を探しだすのだ。ただ、私は最初の章「追跡「行旅死亡人」」の中の次の記述に反発を感じた。無縁死したある人物とその故郷で今も暮らす同級生との対比を次のように書いている。
<。。孫の愛情が詰まった湯飲みでお茶を飲む高田さん。かたや、東京でひとり孤独に無縁死していったかつての同級生、大森さん。しかし大森さんだって、少し道が違っていれば、高田さんのように幸せな生活を送っていた可能性があったのだと思わずにはいられなかった>
思わず、違うと思ってしまった。子供や孫に囲まれた人生が幸せという前提が書き手にあるのが気にかかる。そんなこと、他人にわかるものではない。たしかに、子供や孫と暮らす同級生の大家族を垣間見ると、いつまで経っても一人以上には増えないわが身との違いが非常に面白く感じられることはある。だからと言って、それを悲しいとか寂しいとか嘆くものではない。
孤独死はかわいそうという世間の考えが、ひとりで暮らす人達を余計寂しい思いにさせているのではないかとふと思わせられた。