孤独死は不幸なのか。

孤独死は不幸なのか。_f0020564_0303920.jpg昨年1月にNHKで放送されたドキュメンタリー『無縁社会』が本になったので読む。孤独死した人たちを引きとる身内がいない、身内がいてもお骨の引きとりを拒否される、そういう人達の死をNHKの取材班は無縁死と呼んで、かれらの生きてきた軌跡を丹念に追いかけた記録である。読みながら、番組の映像が遠くに蘇ってくる。こういう番組を見たり、本を読んだりするのは、私の最期も孤独死の可能性があるからだ。ただ、それが何が悪い、と思ってはいるのだが。

さすがはNHKである。豊かな取材費を使って、市町村ではとても追跡できない人物の足跡を探しだすのだ。ただ、私は最初の章「追跡「行旅死亡人」」の中の次の記述に反発を感じた。無縁死したある人物とその故郷で今も暮らす同級生との対比を次のように書いている。

<。。孫の愛情が詰まった湯飲みでお茶を飲む高田さん。かたや、東京でひとり孤独に無縁死していったかつての同級生、大森さん。しかし大森さんだって、少し道が違っていれば、高田さんのように幸せな生活を送っていた可能性があったのだと思わずにはいられなかった>

思わず、違うと思ってしまった。子供や孫に囲まれた人生が幸せという前提が書き手にあるのが気にかかる。そんなこと、他人にわかるものではない。たしかに、子供や孫と暮らす同級生の大家族を垣間見ると、いつまで経っても一人以上には増えないわが身との違いが非常に面白く感じられることはある。だからと言って、それを悲しいとか寂しいとか嘆くものではない。

孤独死はかわいそうという世間の考えが、ひとりで暮らす人達を余計寂しい思いにさせているのではないかとふと思わせられた。
Commented by ねこっと at 2011-01-24 11:38 x
人がどう死ぬかは、残されたものの受け取り方であって、死それ自体、死んでいく者にとってはただ「死」があるのみ。それ以上、それ以下のもではないと、私は考える。すべて「孤独死」のカテゴリーにはいるのかも・・・
Commented by おまさぼう at 2011-01-25 00:08 x
どんな死に方をするかわからないけど
人は生きてきたようにしか死ねないといいますからね。
その時独りであるとか看取られて死ぬかなどは関係ない。
面白い人生だったと思いながら逝きたいです。
もっとも、そんな余裕が残っているかどうか。
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by omasa-beu | 2011-01-24 00:33 | 映画、TV、本、音楽 | Comments(2)

終活しなくちゃと思いながら毎日をだらしなく送っている団塊の世代です。写真は、ドラマ『子連れ狼』(北大路欣也さん版)の大五郎(小林翼さん)。私の癒しです。スカパー「時代劇専門チャンネル」のTV画面から撮影。問題でしたらお知らせください。


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